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アルバム『Wonder Future』のツアー、国内公演が終了しました。どうもありがとうございます。約束通り、セットリストを公開します。
01.Easter / 復活祭
02.Little Lennon / 小さなレノン
03.Winner and Loser / 勝者と敗者
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04.Caterpillar / 芋虫
05.N2
06.センスレス
07.リライト
08.Planet of the Apes / 猿の惑星
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09.ナイトダイビング
10.Eternal Sunshine / 永遠の陽光
11.或る街の群青
12.青空と黒い猫
13.Prisoner in a Frame / 額の中の囚人
14.深呼吸
15.今を生きて
16.嘘とワンダーランド
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17.シーサイドスリーピング
18.Signal on the Street / 街頭のシグナル
19.新世紀のラブソング
20.ネオテニー
21.トラベログ
22.スタンダード
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23.Wonder Future / ワンダーフューチャー
En1.日替り
En2.日替り
En3.日替り
En4.日替り
En5.Opera Glasses / オペラグラス
プロジェクションマッピングを使っての演出もありましたので、本編のクオリティを高めるために曲順は固定して行いました。また、アンコールは日替りで30公演被りのない曲順で演奏しました。本編は固定されているとはいえ、舞台演出も演奏部分も変化していったので、最初の頃に参加した人も、例えばYouTube Liveでの印象はまた違ったんじゃないでしょうか。台詞のように決まっているのは曲順くらいのもので、あとは伸びたり縮んだりするんですね、音楽の生演奏って。それでも、例えば、リライトの間奏でのソロ回しなんかは、なるべく同じことを毎夜演奏する人と、俺のようにノッってる日はなかなか止めないみたいな、そういう個人差があって面白かったです。
このツアーの企画は、実はロサンゼルスで録音する前から立ち上げていたんです。レコーディングに向かう日の、羽田空港で建築家の光嶋さんと打ち合わせをしました。そのときには、既にプロトタイプのステージセット模型を使って、いろいろな話をしましたから、考えてみれば随分と早くからコンセプトを決めていたのだということが分かります。アルバムのジャケットが白であること、「Wonder Future」とエンボス加工で刻字されていること、架空の街を表したようなアルバムであること、そして、それを建築家に頼んでステージに立ち上げること。そういうことは、決まっていました。
建築家は実際に建てる建築物の模型を作るんですね。自分が作っている『THE FUTURE TIMES』の取材で建築家たちを取り上げたのですが、何度も模型が作られては修正されて、建物がデザインされていく様はとても面白いものでした。図面だけではなくて、こうして模型を作るのだということ、そのプロセスに触れたのは大変貴重な経験でした。そういえば建築学科の学生って模型作ってたりしたなぁなんて回想もありつつ、白い材料で作られる模型の、その白さにも改めて目が向いて、ジャケットの白と連動させたら面白いんじゃないかと考えついたんです。だったら、本職の建築家に依頼してみよう、というところから、このステージセットのデザインはスタートしました。
選曲についても、いろいろ考えましたが、基本的には僕たちの「現在」について考えたセットです。架空の街、真っ白な虚構のような街に、それこそフィクションとしての書物=楽曲を投影して、幻想的な風景を描く。でも、それは幻想でもなんでもなくて、僕たちの「現在」と地続きで、境目がない。ボーダーラインがない。幻想だろうが現実だろうが、音と発語された言葉が境界を飛び越えてくる。架空の街とそれぞれの街=現実の間に特殊な空間が立ち上がって、グニャリと歪む。パースペクティブ=見え方が変わる。それを持ち帰ってもらう。そんなことをイメージしました。光嶋さんの建築以外でのドローイング作品群の名称が『幻想都市風景』ですから、これを超える適任者はいないだろうと考えて、デザインを依頼しました。
『ワールドワールドワールド』の楽曲が多かったのも、いろいろ意味のあることだと思います。歌詞、つまり言葉の面でもそうですが、曲を並べたときに、サウンドとしての相性がいいということもひとつの発見でした。どちらかというと、歌詞にある言葉というよりは、サウンドの相性でライブのセットリストを決めているのですが、自ずと、言葉も連動してくるんですね。やっぱり、言葉で直接伝えたいことより、俺の場合はサウンドとそれに乗ったフィーリングをまずは尊重する。心血注いで歌詞を書きますが、歌詞なんてそんな大事ではなくて、楽曲の全体性というか、言葉も含めた鳴り、そこから得られるフィーリング=感情を重要視しています。で、そういうことを重視して曲順を決めても、言葉たちがそこに集ってくるというか、言葉を無視したような曲順にはならないんだと、改めて安心しました。「ネオテニー」や「トラベログ」が「スタンダード」と共振して心が震えたり、「深呼吸」と「今を生きて」の連なりに感動したり、発見の多いツアーでした。
だから、改めてこの曲たちの歌詞をマジマジと読んでもつながることはあるし、一方で、あのステージ上で鳴らしたそのときに立ち上がったこともたくさんあると思います。映像作品として発表する予定も立てていますので、いつか追体験してもらえたら嬉しいです。
とても良いツアーでした。ありがとうございました。