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喫茶店の隅っこの席に子供連れの夫婦。旦那さまは強面な感じで、丸坊主に薄い紫がグラデーションになっているサングラスで、一見すると堅気ではないような風貌だ。奥様は長髪のブロンドの外国人。テニスプレイヤーのグラフみたいな感じ。お子様はハーフということになるだろうか。俺は斜めに旦那さまと向き合うかたちで着席して、アイスコーヒーにアイスを落としたものを啜っていた。
強面の旦那さまはその外見に反して語学が堪能らしく、鼻から抜くような発音で奥様となにやら話している。おおおフランス語?それともスペイン語?英語っぽくないな。しかし流暢だなぁ、人は外見で判断してはいけないなぁ、などと思って俺は珈琲をすすり続けた。そして、その流暢な外国語会話に耳を傾け続けながら、旦那さまのギャップを堪能し続けたのだった。鼻への息の抜き方からして、フランス語であろうと思った。
しばらくして、もう一段階、旦那さまが発する言葉を聞き取ろうと、音を聞き取るための感覚を敏感にさせてみると、なんだか聞きなれた言葉がとびこんでくるのだった。「$'%#!&%#$せなアカンで」「%&$#%$&#%$&ちゃうやん」。うーむ。明らかな関西弁だった。鼻から抜いた、優しいタッチの関西弁だった。
そこからは笑ってはいけない喫茶店だった。強面のオッサンが鼻から抜いた関西弁が優しく俺の笑のツボを刺激するのだった。気をぬくとフランス語に聞こえる関西弁。ヤバかった。4月25日。