Rec. 5日目
カテゴリ:日記

 

 ギタータビング。潔が帰国。

 

 ギター録音になってから、現地のスタッフたちがやおら元気になって、あーでもないこーでもないとアドヴァイスをくれる。ピッチや音色、タイミングについても。リズム録音のときはそんなことなかったのは潔が上手いということもあるかもしれないけれども、この人たちは本当にギターが大好きなんだという雰囲気で、現場がとても楽しい。

 

 

 どうやったらいい音で録音できるのか?という質問を現地のエンジニアにしてみたところ、「いい音楽はいいミュージシャンに宿っているんだよ。だから、特に俺たちがすることはないんだ。君はいいミュージシャンだから、リラックスしてやるのが一番だよ」とのことだった。レイナード・スキナードと仕事をしたのか、文書で読んだのか、そのバンドについての話を踏まえて、そう語ってくれたのだった。ギターテックのカーティスさんもそう言っていた。

 

 俺はアメリカ式の録音の秘策みたいなものを知りたかったのだけれども、どうもそういう理屈ではなくて、この人たちは身体にそういった技術を内面化させている。ギターの音をよくするのにはこうする、ではなくて、いいギターの音はどんな音かを、経験的に知っているのだ。だからまあ、そうすること、いい音で録音することが特別なことではなくて、普通のことなのだ。すっと、日本の町工場の職人たちが金属を絞り上げるように、コツみたいなものが言語ではなくて感覚として、その人や場所に張り付いている。羨ましいなぁと思う。

 

 バンドは順調。久しぶりにメンバー4人で部屋飲みをした。まあやっぱり、音楽仲間である前に友達同士でもあるので、何を話しても楽しい。仕事が絡むと、なんであれやってくんねえんだとか、なんでアイツは酒ばっか飲んで遊んでんだとか、笑、そういう不満が募ってしまうけれども。

 

 友達と20年ちかくバンドをやって、アメリカで新しい曲たちを録音している。僕らが夢にまでみた場所に、本当に来てしまった。なんだか恐ろしくもあるけれども、こういう瞬間は当たり前ではなくて、永遠でもなくて、本当に今しか体験できたんことだから、ちゃんと大きく息を吸い込んで帰ろうと思う。

 

 この先にどんな未来が待っていたとしても、ね。1月23日。

2015-01-23 1422024000
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