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『ハリガネムシ』以来、吉村萬壱さんの『ボラート病』を読んだ。
読後感は正直言って、悪い。それは作品が優れていないからではなくて、優れているからだろう。俺たちがやっているムチャクチャを、なんかよく分からない善意の顔をしている暴力を、愛なのか狂気なのかわからない欲望を、ここに書き連ねることができない人間の人間ならではの愚かさを、書こうとして、それに失敗している。と、思う。で、これは、作家の能力が低いっていうことではない。その逆。つまり、Disではない。なんでかっていうと、そんなものを書ききることは到底できないからだ。書ききれないってことが、書かれている、ということ。誠実だと思った。
『ハリガネムシ』を読んだ後も、なんともいえない気持ちになった。落ちて行くことについて考えるとき、俺はいまだに『ハリガネムシ』を思い出す。再読してみようかな。
9月24日。