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この歩道橋を何回渡っただろうか。自分の人生でもっとも渡った回数の多い歩道橋トップ5に入るだろう。ギターを背負って、通りの反対側からタクシーを拾って帰る。
生まれてはじめて東京の街に来たのは小学校6年生のときで、行きだったか帰りだったか移動中だったかは忘れたけれど、首都高からの街並を眺めながら、とても淋しい気持ちになった。なんというか、何とも言えない果てしなさを感じたのだった。それは世界が広いっていうことど同義なのかどうかは分からない。とにかくその果てしなさにショックを受けた。夕方が切ないことと、理由が近いかもしれない。でも、似てるだけで、違う性質のものかもしれない。でもとにかく、とても寂しい気分になった。
今でも、東京にはそういう気分にさせられる。疎遠になってしまった友人とかを、この街で偶然に発見することはできるだろうか。それは途方もない偶然が重ならないと叶わないことかもしれないけれど、まったくないとは言い切れない。そんな気持ちを持たせてくれるのも東京だけれども、一方で、やっぱりいつだって俺はこの街にいると、小学校の時にひろった淋しさがどこからともなく現れて、煙草をすすめてくるような感じだ。煙草はもうやめたから、深く息を吸って吐く。息を吸って吐く。息を吸って吐く。
俺はこの街が好きで、でも、嫉妬もしていて、嫌悪もしてる。へそ曲がりだから、「東京」なんてタイトルの曲は書かないと思う。もうすでに、いろいろな人の名曲がたくさんあるからね。9月22日。