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頭の高さを地面から一定に保ちながら、横断歩道を疾走する爺さんを見た。まるで頭蓋だけが重力に逆らうように浮遊し、その頭蓋にプラ〜ンと身体がぶら下がっている。そんなような錯覚を起こす走り方だった。爺さんの足が地面についておらず、頭蓋の浮遊力と謎の推進エネルギーで水平移動している、そういうエイリアンであったとしても俺はその事実を受け止めただろう。そういう爺さんだった。爺さんはさっとポストに何か封書を投函して、点滅する信号に焦りながら、水平移動して元の方向へ戻っていった。俺はニヤニヤしていた。
9月17日。