ROCK IN JAPAN FES.
カテゴリ:日記

 

 ROCK IN JAPAN FES.に出演。

 

 ひたちなかは生憎の天気。そして、寒い。こんなに寒いことってあったっけ?という体感気温で、夜のフジロックさながらという印象だった。上着を持ってこなかったので、参った。

 

 到着するとチャットモンチーが始まりそうだったので、急いで舞台袖に移動して彼女たちに挨拶。シモリョーとツネさんにも会えて嬉しかった。ライブはエネルギーに満ちていて、開放的で、とても良かった。新しいシーズンが始まるのだという初々しいフィーリングを感じることができた。ふたりもそれにわくわくしているのではないか、というような印象を受けた。ステージ袖はむちゃくちゃ寒かった。笑。

 

 飯、などを食べて、YAZAWA(敬称略すみません。あまりに遠いので、こう表記します)の漏れ音を楽屋で聴き、途中から実際に観たくなってステージ脇で見学。なんかこう、当たり前だけれども、問答無用の何かを持っている人だ。最早レジェンドなので、ボブ・ディランやキース・リチャーズにも感じる“おかしみ”みたいなものも感じる。凄すぎて笑ってしまうというヤツだ。伝説的なミュージシャンは大体そういうものだ。観ていてニヤニヤしてしまう。なんかいろいろな感情を丸ごとひっくるめて、ニヤニヤして、ウォー!!とかキー!!とか言わざるを得ない。選ばれし人たちの何か、だ。俺もこういうふうになりたいなぁ、と、タイプが全然違うけれど、少し思った。この日のYAZAWAは「行くぜ!行くぜ!行くぜ!」ではなくて「行くよ!行くよ!行くよ!」だった(『君という花』ではこれを引用したんだけどなぁ。笑)。

 

 そして俺たちの出番。

 

 この日は69回目の長崎原爆の日だった。会場入りする前には、長崎で行われた平和祈念式典の生中継を観ていた。Facebookでは、普段政治的な発言をあまりするほうではないホリエアツシが「微力だけど無力ではない」という長崎の高校生たちの言葉を写真とともにアップしていた。長崎出身の彼のそういった投稿に、俺は胸が熱くなった。

 

 そういう想いも込めて、『No.9』という、センシティブな曲を演奏した。「もう何も落とさないで」。沖縄の平和祈念公園から観た真っ青な海、原子爆弾が投下された真夏の青い空、誰かの涙や、自分のいたらなさ(ナイーブさも理解している)、反戦への願い、そういうことを表した歌だ。それ以外にも、『スタンダード』や『センスレス』、『転がる岩、君に朝が降る』という歌をうたったことにも意味があるし、意志がある。上手にMCで伝えられたかは分からないけれど、「微力だけど無力ではない」という言葉を実践したような歌だと俺は思っている。オーディエンスの盛り上がりのために音楽が存在するのが昨今のフェスなのかもしれない。祭りの真ん中で「戦争反対!」と叫んでいるヤツがいたら阿呆みたいに見えるかもしれない。でも俺は、阿呆でもなんでも構わない。望まない限りは、戦争がなくなることはないのだから。

 

(これは橋本塁君にもらった写真)

 

 ロックが偉いとか、そういうことを言いたいんじゃない。音楽に偉いもクソもないと思う。好きなものは自分で決めればいいことだ。俺らなんかよりも観客を楽しませることにプロフェッショナルなアーティストは、その形態に関わらずたくさんいるしね。

 

 ただ、俺たちは、この日に、こういうメッセージを発したかっただけだ。曲や態度として。言葉選びは、少し慎重すぎたかもしれないなと反省している。でも、あの場で発するべき言葉を、俺なりの皮膚感で選んだつもりだ。同時に、数万人が音楽を楽しむことができる「平和」という状況を讃えたつもりだ。そのアティテュードがロックかロックじゃないかなんていうのも、どうでもいい。俺たちは表したいことを表しただけなのだから。楽しんで欲しいという気持ちもあったし、考えて欲しいという気持ちも同じくらい持ってステージに上がった。それを、どういう言葉と楽曲で表現したら伝わるのだろうか、そういうことにトライした。成功かどうかは、帰って観客たちがどう考えてくれたかってことに尽きるんだけれども。失敗だったとしても、続けるさ。

 

 アンコールではナンバーガールの『透明少女』を演奏した。これにはいろいろな想いが重なっている。ロックバンドが好きな人たちへのサービスでもあるし、ナンバーガールへのリスペクトでもある。水流や血脈みたいな流れが意識されていくこと、ツリーのようになっていくこと、そういうロックバンドの歴史について意識しようという提案でもある。俺たちはバトンを受け取って受け渡している。そういうことをステージで表現することも大事なのでないかと、皆で話し合っての選曲だった。まあ、誰よりも俺たちが楽しんだ数分間だったけれども。こういう機会は、もう少しトライしてみるのが面白いんじゃないかと、俺たちは考えた。またどこかで、ふらっと、自分たちの尊敬するバンドの曲を演奏すると思う。洋邦を問わずに。

 

 いろいろあっていいじゃないか。俺らは、こういうバンドなんだ。俺みたいなフロントマンに、堂々とやってこい!とメンバー3人は言うのだ。そういうバンドなのだ。

 

 一緒に共有してくれたオーディエンスの皆さん、どうもありがとう。届かなかった人たち、いつかリベンジさせて下さい。笑。悔しいけれどね。でもまあ、そうやって進んで行くしかない。風変わりでも、誰にも見向きもされなくても、ね。

 

 8月9日。

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