福地温泉と農場見学
カテゴリ:日記

 

 奥飛騨の福地温泉で目覚める。宿泊していたシングルの和室には遮光カーテンがなく、ガンガンに差し込んだ陽光によって6時過ぎに目覚めたのであった。いくらなんでも早過ぎると思ったけれども、陽の光は容赦なく俺の身体のどこかの中枢みたいなところに働きかけたらしく、再び寝ることができなかったので露天風呂へ。

 

 

 夜中は妖怪なのが出そうな雰囲気もあって恐ろしかったのだけれども、早朝の入浴は素晴らしいものだった。白く濁った温泉水が空の青さや森の緑を映して、とても綺麗だった。貸し切り状態だったので、背泳ぎのようなスタイルで下腹部をさらけ出して入浴していると、知らないオッサンが入場してきたので、おとなしくチンとして湯に浸かった。

 

 そして、取材。この日は農園を訪れて、様々な活動についての話を伺った。肉牛の飼育と堆肥についての話はとても興味深く、人間の見た目における好みに適合させるために、肉牛は不健康な個体が高級肉として出荷されているという事実に驚いたのだった。サシを入れるために、ビタミンAなどを欠乏させる農法が政策として行われているのだと、そういう話に戦慄した。健康な牛は売れない、そういう言葉が、飛び交う場所もあるそうだ。健康な牛のためには、乳酸菌などを含む飼料が必要で、これを与えると糞も臭くなく素晴らしい堆肥になるとのこと。だが、牛が健康になり過ぎて、肉にサシが入らない。そうすると、サシ至上主義の市場で負けてしまう。

 

 この日、見せていただいた健康な乳牛は糞も臭くなく、驚いた。糞が臭いのは消化不良を起こしているからで、その匂いで、牛自身もやられてしまうらしい。血中のアンモニア濃度が高まる。そして臭い肉になる。そういうことを、見た目重視の我々はへいこらと受け入れ、歓喜し、実情は質の落ちたものをスーパーマーケットなどで買って食べているわけだ。なんという悲しみか。本気の松坂牛などは、そんなことないのだとも伺った。いつか、バリバリの松坂牛を松坂まで行って食べてみたい。牛肉はあまり得意ではないけれども。

 

 

 パーマカルチャーを実践した農場、堆肥、間伐材から割り箸をつくるための機械、などを見学してから、川魚や有機農法でつくられた野菜などをいただいた。とても美味しかった。キヨシがたまに美味い野菜などを食べた場合、「フルーツみたいだね」という言葉を吐くことがあるのだけれども、そういう言葉がふさわしいかも分からないと思うくらい甘味のある野菜たちだった。健康な牛の糞から作った堆肥だけで、ここまで健康で美味しくなるのだ、ということだった。ええ野菜は腐らない、ということも教えていただいた。ただ、永遠に食えるという意味ではなくて、腐らずに枯れるのだ、ということだった。野菜本来の生命力に驚いたのであった。

 

 

 取材を終えて、高山駅から電車で戻り。時間がなかったので高山ラーメンは食べそびれてしまった。また、取材の間にサッカー日本代表が負けてしまって、皆で落胆した。高山から名古屋までの電車は、結構揺れた。景色が綺麗だったが、ビールを飲んで、寝てしまった。

 

 名古屋からでも、そんなに近いとはいえない。確かに不便かもしれないけれども、便利とは何か、みたいな問いもある。都会と田舎。感じること、考えることが沢山あった。とても良い2日間だった。6月15日。

2014-06-15 1402800720
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