FUKUNE
カテゴリ:日記

 

 この日は岐阜県は高山市、奥飛騨という秘境になある福地温泉へ。名古屋からレンタカーを借りて目的地を目指したのだけれども、とても遠かった。途中の高原地にあるサービスエリアで「鶏ちゃん唐揚げ」なるノボリを発見し、「ケイちゃん」なのか「トリちゃん」なのか、どう注文して良いのか戸惑ったが、俺の経験からするに、この場合、「トリちゃん」と訓読みにすると「後藤ちゃん」みたいな、業界人的なノリが発生してしまって高原の雰囲気にそぐわない。ここは音読みで「ケイちゃん」と呼んだほうが唐揚げに対する親しみを湧いてくるし、何千匹もの地鶏やらブロイラーやらの食肉用の鶏を首を斬!という感じで絶命させている事実、みたいな人間の業も軽くはならないが忘れさせてくれるような響きがある。ので、「ケイちゃん唐揚げください」と俺は自信を持って注文して、それを4分ほど待って、揚げたてを食べた。とても美味しかった。

 

 腹が満たされたので寝、気がついたら山奥のクネクネとした道路を車が進んでいて、そこからまた一時間くらいかかって目的地に到着。空気が澄んでいるような気がした。

 

 そして、高山市長にインタビュー。高山市は市内に充満する自然の力を利用し、エネルギー自給率100%を目指す、ということを市長は目標に掲げている。ということで、市長にそういうことを考えた経緯などを語っていただいた。原発事故以前から、エネルギーに対するを主張をし、当選した市長はとてもユニークな方だった。このインタビューについては『THE FUTURE TIMES』の7号に掲載する予定です。はい。

 

 

 市長がド派手な車で帰っていった後は、インタビュー会場でもあった旅館にチェックインしてから『FUKUNE』というフェスの会場へ移動。移動とはいっても200mくらいで楽屋だった。サイプレス上野君や長谷川健一君がいたので談笑。楽屋の一階はリラクゼーションスペースということだったので、そこに陣取って弁当を食べた。普段は飲食店兼日帰り温泉入浴施設らしく、五平餅や川魚が焼かれている囲炉裏が中央にあって、とても趣のある場所だった。経営者であろう老夫婦は飲食物を持ち込む者などに対しては厳しい視線を浴びせていたけれども、とても親切だった。

 

 

「夏休みバンド」や長谷川健一君のステージを観、うだうだしていた。温泉に浸かりながら温泉地にこだまする「よっしゃっしゃーす」を口ずさむ、などして時間をつぶした。本番まで、ものすごい空き時間があったのだ。だけれども、じゃあ会場内を散策したろかしらとフラフラすると、観客に囲まれるなどして主催者に迷惑をかけてしまう。なので、基本的に楽屋でチンとしていた。しばらくすると、あだち麗三郎君などもやってきた。「片想い」というバンドで出演とのこと。彼のバンドを観るととてもエモーショナルで、バンド編成がとても羨ましくなった。続くbonobosもとても素晴らしく、増々、俺はバンド編成が羨ましくなった。

 

 ほいで、俺の出番。

 

 

 長谷川健一君に2曲参加してもらって、君の街までとBlack Bird Sings at Nightを歌った。アンコールの最後の曲の、クライマックス!というところで回線が故障してビギギギギとノイズが発生、ギターの音が出なくなってしまったので、ギターからシールドを引っこ抜いて、そこからはマイクも使わずに演奏した。大変に盛り上がって、気持ちがよかった。

 

 で、打ち上げ。こじらせた昭和、と言う感じの打ち上げ会場、及び打ち上げだったように思う。乾杯前の空腹を耐えかねて温泉地のラーメン屋に入ると、カウンターが満席で店員の姿が見えなかった。ラーメンは一杯も提供されていない様子だった。不審、というような気持ちが湧き上がった。よくよくみると、湯気のあがる調理場の奥で老夫婦がおり、「座敷は大丈夫なのか」と我々が訊ねると、「無理じゃないの」「いや、いいんじゃない」と夫婦喧嘩一歩手前の相談がはじまったので、ラーメンは諦めて、打ち上げに集中することにした。

 

 

 縁もたけなわではあったけれど、翌日は朝から取材だし、カラオケ大会が始まって隣の人以外と会話が弾まないという状況も生まれたし、何より打ち上げ会場から宿まで遠いし、ということで打ち上げを切り上げて、俺は宿に戻った。そして、深夜、誰もいない露天風呂などに入ってから浴衣に着替え、ふとんに入った。

 

 6月14日。

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