気仙沼ワークショップ ゴッサン基金活動報告
カテゴリ:日記

 

 この日は気仙沼へ。高校生たちと作詞作曲のワークショップ。

 

 今回招いてくれた気仙沼のスタッフたちは、自分たちの町にはライブハウスがないけれども、町のコミュニティの活性化のために力を貸して欲しいと随分前に連絡をくれたのであった。俺はなんとなく、東北の沿岸部に行って入場料をいただくことに逡巡が今でもあるので、できたら無料のイベントで、しかも、なにかの役に立つような(思い出に残るとかでも良いんだけれど)参加の仕方ができないかと模索していたのだった。若い子たちのお小遣いを奪ってしまうのも心配だし。そういう中で思いついたのが作詞作曲のワークショップだった。一緒に音楽を作ることの楽しさを共有しようという試み。考えるのは簡単だけれども、実際に行うとなると会場や様々な雑務が発生する。そのひとつひとつを丁寧に行ってくれた現地スタッフに感謝したい。この場を借りて、本当にありがとうございました。

 

 さて、ワークショップは俺の与太話からスタート。作詞作曲の話題に入る前に、音楽というかポップミュージックについて、最近自分が考えていることを話す。とはいえ、ウォシュレットの強中弱の大雑把なメモリでは人間の尻の穴のデリケートさをフォローすることができないとかいう喩え話などを炸裂させ、この眼鏡のオジさんは何を言っているのかなと感じる高校生もいたかも分からない。まあ、もっと複雑なものなのだという話をしたかったのだけれども。笑。そのあとは、作曲や作詞についての話。作曲とは言っても、「歌」を作ることについての話かな。五線譜の話ではなくて、もっと土着の、歌う言葉の書き方/作り方の話をした。で、実際に「けせんぬま」の頭文字を使って、即興で歌を作るというパフォーマンス。ほとんど意味不明の歌詞だけど歌って気持ちがいい韻の踏み方から、それを整えて意味や詩情をつけ加えていくことなどをレクチャー。我流だけれども、あくまでひとつのやり方として。

 

 

 その後は、チームに別れて実践。全くルールがないと自由すぎて崩壊するので、「けせんぬま」の文字を歌詞のどこかに入れることを最低限のルールとした。一時間弱で皆、それぞれの歌を完成させていて驚いたなぁ。時間がなかったので、代表して2組のバンドに発表してもらったのだけれども、それが本当に面白かった。

 

 一組目は正当派な、クラスの行事とかもしっかり取組みそうな学生のバンド。歌詞も「朝陽が昨日を追いやってしまう寂しさ、蝉のようにはかない自分の心もとなさ」みたいな感情が表現されていて面白かった。この短時間でよく書けたね!と思った。メロディや構成はオーセンティックなJ-POPという感じだった。このままクンクンに洗練させて行くと、ミスチルとかのバラードに行き着くような、コード進行が多めの、ミドルテンポの曲。

 

 ほいで二組目。彼らは最前に座りながらも、ワークショップ中にまったく落ち着きがなくて心配だった。機材はしっかりしていて、大きなエフェクターボードなんかも持って来ていた。1時間の作曲時間もなんだかわちゃわちゃしているように見えていた。その彼らが発表したいとのことだったので指名。ドラマーが仲間にいなかったので、僕がキックとハイハットでリズムだけ補助したのだけれど、なんだかよく分からないけど、それぞれひとりで演奏したらけっこう上手な子たちなんだなということが分かった。分かったけれども、一度も揃うことなく、歌詞を歌うこともなくダラダラと終わった。笑。あんまりなので、どういうこと歌おうと思ったのかと聞いてみると、古文の「け」と「せ」の活用の暗記方法を歌いたかったのだということだった。なので、追試。歌を歌うとうまく弾けないとのことだったけれども、歌を中心にしてやり直してもらった。これが、すごく格好良くで驚いた。「け、け、ける、ける、けれ、けよ」みたいな言葉をギターのカッティングとリフに乗せて歌うのだけれども、歌があることで演奏がそこに集まってきて、さっきまでのわちゃわちゃが急に曲として聴こえて面白かった。全員でこれを歌ったならば、ちょっとしたトランス状態になりそうで、そんな絵を想像して興奮した。

 

 ということで、対極的な二組。言葉の意味に寄り添ってちゃんとした歌を作ろうと意識したチームと、言葉は響きにまかせて音楽の気持ちよさを追求したチーム。偶然だけれども、このコントラストはとても面白い。すんごく楽しかった。

 

 そのあとは、まとめみたいなことを話して、俺も即興で作った「けせんぬま」の歌を披露して、ソラニンを歌って終了。あまりにワークショップが面白かったので、自分の演奏時間がなくなってしまった。笑。また来ることを約束して、最後に東京から持ってきたギターを彼らに差し上げた。三つの高校の軽音楽部が参加してくれていたので、3本のギター。エピフォンのハミングバード(ソフトケース付)。バッキバキのハイエンドではないけれど、しっかり鳴って、入門にも適したものをチョイス。

 

 

 以前、僕の地元の島田市の友人たちから65,551円のお金を預かっていたのだけれど、彼らはミュージシャンということで、そのお金でギターを買いました。友人に相談して、そういう使い方だと嬉しいという返事もいただいていたので。RATBの皆さん、どうもありがとう。税込みで61,560円でした。

 

 

 前回までの繰越金が221,467円。今回の分を差し引いて、159,907円がゴッサン基金の残高となります。引き続き、被災地支援に使い、随時会計報告をこの日記でしていきますね。協力して下さった皆さん、どうもありがとう。


 最後にギターと一緒に集合写真を。拙い授業だったかもしれないけれど、講師はとても楽しんで参加しました。本当に驚くことばかりだったなぁ。なんかこう、音楽って楽しいなぁとか、そういうことに繋がる場所になってくれたのならば、感無量です。また、どこかの町でもやってみたい。そんな気持ちになりました。気仙沼の皆さん、スタッフの皆さん、どうもありがとう。



 6月7日。

 

 

 

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