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レコードストアデイにおける様々な問題について。
妙にいろいろな人が僕について怒っていて、中には「地に堕ちた」とまで言う人を見かけるようになったのは昨日のこと。なんか変だなと思ったので、ちょっと調べてみると、「後藤正文の指示で不正があった」と読めるもので、僕がレコードストアデイを自作の宣伝に利用しているという投稿が拡散されていました。これは本当に心外で、とても残念でした。今でも文面を読むと、ズシリときます。
でも、こういう文章を書いた彼も音楽が好きで、レコードが好きな人です。で、今回のレコードストアデイではとあるアーティストの作品のリリースにも関わっていたんですね。で、皆、通販解禁はレコードストアデイから1週間後というルールを厳格に守っていました。ですが、どういうわけか僕の作品は、通販の発送は一週間後なものの、サイトで予約が可能になっていました。アンバサダーがルール守ってないなんておかしい!そういうところが怒りの根源ですから、彼が一方的に悪いとは僕も考えていません。僕がもう少し細かくチェックして、通販の予約ができないことは当たり前のことだと流さなければ、こういうことは起きていないと思います。タワレコの件についてはまったく事情を知らず、Amazonに関しては指摘/注意をしていたにもかかわらず、このような結果になってしまいました。ただ、やりとりをスタッフと事務局に任せっきりだった僕にも責任の一端があると反省しています。厳しいチェックを徹底すれば防げたことです。不快な想いをされた方にはお詫び申し上げます。
レコードストア全体としても、一部の作品が通販で予約できていたということだったそうです。そして、事務局の説明についてはこちらをご覧下さい。もっと長い弁解を書きたい気持ちもありますが、どう書いても言い訳のように読めてしまうので、事務局の文章を一読していただければと思います。
でも、ここだけはと、書き表したいのは2点。僕がタワーレコードに「(通販において)僕の作品だけ例外にして欲しい」と伝えたことはないですし、実際に僕が特例だった事実はありませんし、「レコードストアデイを都合良くプロモーションに利用していた」だなんてこともありません。純粋なレコード愛からアンバサダーを引き受けましたし、去年から自費で発行している新聞『THE FUTURE TIMES』でもレコードストアデイ特集を組むなどして、盛り上げてきたつもりです。時間も労力も差し出したつもりです。もちろん、ギャラなども頂いておりません。様々な不備への指摘は反省します。ですが、事実と違うことが流布されることは我慢なりません。
なにより、折角盛り上がりはじめたレコードストアデイに水を差すようなかたちになってしまったことを悔いています。今回の件は様々なルールの不徹底、連絡ミス、そういうことで起こりましたが、この点は今年アンバサダーになった者の責任として、例年は改善してもらうように要請していきます。
本来、海外では大きなレコード屋が町からなくなり、巨大スーパーみたいなところでヒット曲だけが叩き売られているような事情の中、町の小さなレコード屋を守っていこうとはじまったのがレコードストアデイです。僕も英会話の講師と海外のCD屋事情の話をしたりして、アメリカではウォルマートっていう駐車場にシャワーまであるようなドデカいスーパーとかじゃないとCDが買えない、みたいなエピソードに驚いたことを覚えています。そういうところで、ミュージシャンたちが立ち上がったんですね。で、レコード屋で特別なレコードを売って、文化共々守っていこうというムーブメントになったのだと理解しています。そういう意図から考えれば、通販そのものがどうなのだろうという疑問があって当然です。
一方で、その限定盤の問題も発生しています。実際、レコードストアデイが限定版争奪戦みたいになってしまっているのも事実です。転売屋もいるそうです。そういう中で、最近のレコードストアデイってどうなのよ?っていう意見もあります。そういう限定版争奪戦のためにはじめたことではないけれど、レコードが好きなリスナーなのに、欲しいものが全然手に入らないなんてことにもなってしまっています。それについては、ある程度通販も必要なのではないかという意見もあります。一週間後の解禁が適切なんだろうか、という話をアラバキでも友人たちとしていたところだったんです。地方で転売屋の影響を受けずに、レコードが好きなひとが作品を手に出来る、かつ、店舗にも人が行くようにするにはどうしたらいいか。そんな話を楽屋でしてたんですよ、本当に。
まあでも、こんなことになってしまいましたが。。。笑、と書きたいですが笑えませんよね。すみません。
SNSとかを見ていたら、結構レコードストアデイ自体への疑問なんかも見かけます。僕自身、事務局に対して違和感がないわけではないですけれど、面倒な事務の一切を任せているのも事実です。そして、彼らはほぼ無償(ほとんどボランティア)でそれを引き受けています。ゆえに予算も少なく、スタッフも少ないので、いろいろな問題もおきています。それを一刀両断で「ちゃんとやれや」って一方的に文句を言えないと思うんですね。だって、レコードストアデイっていうか、まあこういう文化、僕らのものですから。本来は、事務局がどうとかじゃなくて、ミュージシャンとかレーベルとか、レコード屋発信でやっていくべきだと思うんです。現状は、事務局スタッフの善意に乗っていろいろやって、うまくいかないのでそれぞれの場所で皆が文句を言っているという感じになっています。
だから、僕はちょっと考えたい。本当にこのやり方が合ってるのかな?って。通販だって限定盤にしたって、日本には日本の風土に合うやり方があるのかもしれないし、何より、「大人」に任せっぱなしなのはどうなんだろうと。僕もいいオッサンですけれど、こういうのは現場の人たちがやるのが一番良くて、上意下達みたいな中央集権的なシステムでやるもんじゃないと思うんです。そして、何かあったら全部中央の責任なのかなとも思います。任せているのは、中央集権的なものを求めているのは、誰なんだっていう...。そういうことについて、ミュージシャンやレコード屋や、音楽にまつわる人たちが、リスナーの皆(俺も含む)と協力して、話し合って、面白いイベントにしていけたら良いんじゃないかと思います。で、誰がとりまとめる?って話なんですけれど。。。ここだけは問題ですね。これは何かに似ている気がしませんか?政治?国会? 僕は飛躍しすぎだとは思いません。やはり、僕らの手でやる方法(事務局潰しを提案しているわけではないです)を考えるのが良いのではないかと思っています。誰かに押し付けることなく。封建社会じゃないですから。
長くなってしまってすみません。
本当に、今回の件ではお騒がせしました。アンバサダーが混乱の渦中にあったこと、本当に悔しく思います。一方で、今回のレコードストアデイではたくさんの方がレコードショップに出かけてくれたみたいで、本当に感謝しています。はじめてレコードを買ったなんていう報告も多くて、とても嬉しいです。
純粋に、レコードもCDもハイレゾも、コンサートやライブも、つうか音楽自体が、もっと盛り上がってくれたら僕は幸せ。ひとりのミュージシャンとしてというよりは、ひとりのリスナーとして。
後藤正文
追伸。汚名を晴らすべく尽力してくれたスタッフ、励ましてくれた友人たちに感謝します。愛、愛、愛。5月1日。