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アジカンのミュージックビデオ撮影を都内で行う。まずは野外での撮影。ムチャクチャ寒かった。
その後は喫茶店に移動して、ナポリタンを食べるシーンの撮影。そして、お会計のシーンも撮影。スタッフが焚き付けたのであろう、喫茶店のオヤジさんが妙に張り切っていた。ほとんどエキストラ、しかも音は後から我々の曲が被せられてしまうわけで、オヤジさんの接客ボイスは一切録音されていない。ところが、オヤジさんは妙に滑舌も愛想も、普段の何割か増しなのではないかというくらい、良い。姿勢も良い。客の俺にバッキバキに身体を正対させている。それはぶっちゃけ、やりすぎではないかと思うくらいで、居酒屋チェーンにおける店員全員での全力の「ハイ!喜んで!!」に近い過剰さがある。大丈夫かな、と、俺は思った。
で、カットがかかる。監督は俺に、もう一度お願いします、と言った。まあ、保険でもう1テイクねみたいなニュアンスであった。ところが、だ。喫茶店のオヤジは俺に向かって「なんかちょっと遅かったかなぁ。笑」と、俺の金銭の支払いのスピードがモタついちゃったね、でも俺は気にしてないから次はリラックスしてやったらええよ、というような言い方でアドヴァイスをしてきたのであった。ぬお、なんか、俺のせいでもう一回みたいな空気、と、オヤジはこの場を読んだことに対して大変な憤りを覚えたのだけれど、俺はそれを飲み込んで、2テイク目でさっきよりも明らかにモタつきながら金銭を払い、過剰な演技をブチかます店主のオヤジさんから釣り銭を受け取り、店を出た。監督からはオッケーの声。
無事撮影は終了した。オヤジさんも満足そうだったので、なんだか俺も嬉しかった。1月10日。