フラッシュバック2013
カテゴリ:日記

 

 怒濤の2013年も終了ですね。はぁ、今年はよく働きました。

 

 年明け、まずはDr.DOWNERのレコーディングでした。彼らの作品に関わるのは2作品目。どんどんと進歩していますよね、彼ら。基本的に俺のプロデューススタイルは「バンドのやりたいことを叶える」という方針なのですが、Dr.DOWNERは目を離すとちょいちょい妥協をするので、そこらへんに目を凝らしつつ、楽させないように取組みました。笑。それくらいかな、俺の役割って。

 

 猪股の詩もどんどん良くなっているし、突然ベーシストにパートチェンジされた星野もどんどん安定してきていて、この先が楽しみです。ケイタも小石も増々色っぽくなってきている。あと、猪股の歌詞って昨今のロックバンドの中では結構ユニークですよ。アイツは三浦半島っつうか逗子駅前の景色ばっかり歌っています。心象風景を描くバンドが多いなかで、圧倒的に街の風景を歌ってるんですね。そこに、やりきれない本人の心情が乗っている。で、この歌詞がDr.DOWNERの魅力のひとつだと思ってます。来年も何やらスタジオに呼ばれているので、楽しみです。ガチコーンと、すんごいロックでパンクな曲書いて欲しい。

 

レインボー / Dr.DOWNER

 

 

 続いて、the chef cooks meの作業。これはもうずっと、延々やっていたような気がします。何度もぶっ倒れたりしながら。笑。

 

 フロントマンのシモリョーは、最初、気合いとか、転じて気負いとか、自分と他人への疑心暗鬼とか、まあいろいろなものが混ざり合って大変な印象だったんですけれど、録音が進むにつれて解けていったように思います。「こうしたい!」っていうのが強烈にあったので、俺はそれを叶えるように動けば良いだけというか。具体的には良いアンプと良い楽器貸したり、冗談を言って和ませたり。笑。ボーカル録音のときになって、やっと全般的な信頼を勝ち取った気がしましたけれど。ボーカルの録音って一番最後ですから、まあ、それまでは俺にもアジカンのスタジオとは違った緊張感があったわけです。そういうのが倒れた要因かな。あはは。かなり気を擦り減らした現場でした。笑。

 

 でも、良いアルバムができて嬉しかった。自分のプロデュースワークとしても、胸を張って誰かに自慢できるような、そういう作品です。学んで、経験して、それを身に付けることができた作業でした。感謝せねば。

 

 この曲はシモリョーのムチャ振り(録音の前々日の深夜に突然のメール)によって歌詞を書かされ、ラップまでさせられました。笑。ハスキンの磯部さんまで巻き込んで...。でも、とても素晴らしい曲に仕上がりましたね。シモリョーの歌詞は猪股と真逆で、徹底的に心象風景なんですね。イメージの中の街や世界、そこに登場する群像を肯定することで、僕らの実生活を肯定するっていう書き方。で、比喩として音楽が多く使われているし、音楽への愛についての言及も多い。そういうところが特徴で魅力かなと。

 

環状線は僕らを乗せて / the chef cooks me

 

 

 ほいで、俺のソロ。

 

 これは年明けにシカゴのSOMAスタジオでミックスして完成させてきます。もうずっと自分のスタジオのアップデートに追われていたのも2013年の思い出って感じです。クッソ重いコンプを担いで帰ってきたり、ノイズと闘ったり。自分のソロの録音はほとんど自分の作業場である『Cold Brain』で自分で録音してました。DIYっていうか、I do it myselfですね。俺の音楽は俺がやるっていう。宅録じゃん!って言われたらアレだけど。笑。ええ機材使ってますよ、と。

 

The Long Good bye / Gotch

 

 

 

 そしてまあ、アジカンの諸々があって、それがどれも楽しかったです。BECKのルーザーのカヴァーは賛否があると思いますけれど、俺は今歌わないといけない言葉を乗せたつもり。皮肉たっぷりですけれど。

 

 

Loser(日本語カヴァー) / ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

 

 そして、長谷川健一君のカヴァーアルバムもありましたね。これはつい最近発売になったものです。バンプやナンバーガール、岡村靖幸さんの曲とか、かなり面白いカヴァー集になりました。コンセプトとしては、俺のCold Brainでのスタジオライブというか、部屋鳴りをそのまま収録するというか、手元や耳元で鳴る音楽をイメージして録音しました。昨今のJ-POPってコンプバキバキで全部の音が耳元に張りついているような感じなんだけれど、そういうのとは真逆で、演者の体温が伝わるような音像を求めたというか。長谷川君の息づかいまで届いたら嬉しいです。

 

my favorite things / 長谷川健一

 

 

 というわけで、今年の仕事のまとめでした。あと、まだ言えないプロデュースも年末にしていて、それは年が明けてから発表になるはずです。これも名曲なのでお楽しみに。いやぁ、いい一年だった(社会的に見ると、不安になるニュースが目白押しだけども...)。

 

 一番記憶に残っている風景はなんだろう。うーん。10周年のライブも素晴らしかったし、ヨーロッパツアーも忘れられないけれど、南相馬で観た花火が素晴らしかったな。鎮魂のための花火だったけれど、地元の人たちの「俺たち、私たちは元気にやってるよ」っていう空に向けたメッセージが、とても美しかったです。胸を打ちました。

 

 それでは皆様、良いお年を。12月31日。

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