ソロアルバム録音完了
カテゴリ:日記

 

 ソロアルバムの録音が完了。この日はどうしようもないド変態ストーカー野郎の歌を歌い、国道6号線の歌のコーラスを録音して終了。写真はスタジオに取材に来てくれたMitch Ikeda氏と俺。

 

 

 制作期間はどれくらいだったろうか。“LOST”から数えるとかなりの時間になるかもしれないけれど、グっと集中してスタジオに入ったのはここ3ヶ月といったところだろうか。大概の録音を自分で行ったので、いつしかスタジオには録音機材が増えた。最近ではプラグイン(コンビュータにインストールして使うソフト)が充実してPCの中だけで完結してしまうことも増えたけれど、まあ実機というのはどうしようもなく目の前にあって、音に変化を与え、役立つうえに資産にもなる。それは否応なくそこに在るから、だ。そういうモノが俺は好きだ。

 

 今回のアルバムには何人かの友人ミュージシャンに参加してもらった。8ottoのトラちゃん、シェフクックスミーを辞めたウラ君、ターンテーブルフィルムスの井上君、シガベッツのカンジ、Nahavandの宮内君、岩崎愛ちゃん、YeYe、アチコさん。シェフクックスミーからはシモリョーとホーン隊のマルちゃん、コウセイ君、ハヤト君。皆、とても良い演奏をしてくれた。いくつかの素晴らしいアイデアを与えてくれた。本当に感謝している。あ、ent師匠を書き忘れた。ホリエ君、ありがとう。

 

 ソロをやりたいと思ったのはいつだったろうか。アジカンが嫌いとか飽きたとかそういうことではなくて、D.I.Y.で音楽を作ってみたかったというところが大きい。言わずもがな、アジカンは巨大ロボットのような感じで、操縦席に乗るだけでも大変なことだ。良いことか悪いことか俺たちが横浜の南端でバンドを始めた頃に比べて、その隅々まで把握することが難しくなった(例えば昔は物販のデザインもすべて俺がしていたけれど、今はスタッフと潔に任せている)。そのお陰で音楽だけに集中していれば良くなったわけだけれども、どこかに寂しさを抱えているのも事実だ。俺の想いだけではなくて、メンバーひとりひとりの想いもそうだし、スタッフの思い入れも全部乗せて、アジカンという舟は大洋を航海している。俺はその舟の一員であることを誇りに思っている。

 

 いつでも時代の空気は変化し続けていて、当たり前だけれど、自分が会社員だったころの生活習慣のように、ルーティンみたいな感じで音楽を続けることはできない。毎朝同じ電車に乗って行けば働く場所に着くわけではなくて、鳴らす場所を作っていかなければミュージシャンは音楽で食べては行かれない。まあこれは時代がどうあれ当然のことなのだけれど、それでもミュージシャンが「音楽産業」っていう幻想にのうのうと寄りかかかっていられる時代はどうやら終わりそうで、日本だけではなくて海外でも多くのミュージシャンが物理的な環境の変化を迫られている。あまり良くない意味で。

 

 でもさっき「幻想」と書いたけれど、音楽が産業にまで伸し上がったのが何か悪い冗談だったのかもしれないとも思う。海外のロックスターの作る楽曲に感動したことはあっても、得た富で美女と豪遊して、ドラッグでもキメて、そんな生活に憧れたことは一度もないんだ、俺は。狂気じみているとしか思えなかった。そしていつか自分の頭をブチ抜いたとして、そんな彼らを神様みたいに崇めることにも、違和感をずっと持っている。

 

 なんというか、もっと身近なものなのね、俺にとって音楽は。それを体現したかったというのもある。アジカンだと、ちょっとその狂気に接続しないといけない。それはときに喜びでもあるけれど、緊張とストレスを俺に与えて続けてもいる。どこか居心地悪いのも確かなのさ、ゴッチー!!なんて言われることは。

 

 お陰でとてもリラックスした作業だった。作業場やレンタルしたスタジオに行き、自分で演奏して録音する、あるいは友人の演奏をダビングする。気心の知れたエンジニアと歌を録音する。そのすべてを自分がジャッジする。そんなもの当たり前のことなんだけれど、バンドってだけで自分以外の価値観が立ち上がるからね。それにはそれの面白さが強烈にあるわけだけれども、今回は自分で全てをやってみたかったわけ。なるべく自分の手で。

 

 あとはミックスを残すのみ。これは海外のエンジニアと行う予定。餅は餅屋だって感じる部分もある。笑。

 

 作ってるときは、まああんまり多くの人に聴いてもらえなくてもいいやなんて正直思っていた。でも完成が近づいてくると、せっかく良い曲ができたから、どうにかして届けたいなとも思いはじめた。なんて書きながら、あーでもなんとなく俺の「届ける」と誰かの「見つける」が50対50くらいの感じで、やあ!なんて雰囲気で成立したらいいなとも思う。クソ大きい会場なんかでは映えない音だと思うから、届く距離で鳴らしたいとも思う。あーなんか、音楽と、身体と、精神と、フィーリングと、ここに書けそうなそういうなにがしの全てを、整体するような行為だったんだなと全てのレコーディングが終わってから思う。なんかええ感じで、アジカンっつう巨大ロボのコックピットに戻れそう。笑

 

 良い作品に仕上がるよ、これは。お楽しみに。11月25日。

 

 

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2013-11-25 1385385540
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