FLAKE&dig me outの7周年。
カテゴリ:日記

 

 大阪にて『FLAKE RECORDS』と『dig me out ART&DINER』の7周年記念イベントに出演(4年連続4回目)。共演にはターンテーブルフィルムズの井上君、クワトロのウッシー、U&DESIGNの綾部君、アンチェインの谷川君。全員ギターの演奏も歌唱も上手というなか、完全にエモ一点張り、いや、パッションの押し売りのようなオッサンがひとり混じっているという状況で、DAWAさんの悪意とも呼ぶべきブッキングだったけれど(笑)、とても楽しかった。なぜか2年連続でシガベッツのカンジが楽屋に居て謎だった。

 

 音楽やアートを発信するということを商売にしようと思ったらなかなか難しい。例えば俺が「私の本棚の本が読めるカフェ」のようなものを開店したらどうだろうか。最初は好奇の眼差しを持って訪れる人、冷やかし半分に来店してはブログに批評のような駄文を書き綴りお洒落な写真などと共にアップする人など現れて、なんかやっていけそう、そう思うかもしれない。ところが、俺はコーヒーも上手に入れられないし、作れる料理はカレーくらいのものだ。カレーも市販のルーを使う。そうなってくると、あそこのカフェはアジカンのゴッチの店でオススメの本が読めるが、コーヒーが薄い、そして何より飯がカレーしかないうえにハウスの『こくまろ』みたいな市販のルーを使っているにも関わらず店主の好みなのかルーがシャバシャバ、あれはボッタクリだという悪評が立って店は焼き討ちにあってしまうだろう。

 

 FLAKEは世界中のインディペンデントなポップミュージックを紹介してくれる。仕入れたすべてのCDやレコードにポップ(紹介文)を付け、自身のレーベルで国内や海外のバンドの音源をリリースし、それを売るだけでなくツアーやイベントを企画して、様々なライブに顔を出して酒を飲み狂っている絶倫のオッサンが経営する店だ。音楽への愛がある。というか、ほとんどそれだけでやっている。海外のバンドを日本に紹介し続けていることが認められてポーランド(だったっけ?)に呼ばれたり、この間は「死ぬまでに訪れるべきレコードショップ」とかいう海外のウェブサイトにも登場した。本当に素晴らしいことだ。

 

 ディグミーにはTHE FUTURE TIMESの創刊号の表紙を書いてくれた岸野さんと出会わせてもらった。俺がディグミーのアプリで作品を見てビビビ!と来て、それでフルさんに繋いでもらって、あの表紙が完成したというわけ。それ以来、THE FUTURE TIMESの配布や写真展、イベントなど、いろいろ力を貸してもらっている。店内ではユニークな展示がいつも行われているし、飯も美味い。市販のルーで作ったこくまろカレーを出したりしないところも良い(当たり前だけど)。あとは地域に根を張っているところも好きだ。心斎橋は都会で、案外それぞれが繋がりを断って殺伐とするのは容易な場所だと思う。そういうところで、街のゴミ拾いなんかに取組んでいるツイートをたまに見かけたりして、凄いなぁと俺は感心している。

 

 

 そんな両店の周年を記念するイベントに4年連続で出られて嬉しい。嬉しさが余って、生まれてはじめてハープを人前で吹いた。肩からハーモニカホルダーを下げる日がくるとは思っていなかった。10代の頃を俺がこの姿を観たら、ダサイと連呼して鎌を片手に襲いかかってくるだろう。だが、俺はそれを自分の左側に受け流しながら右腕をとって捻り、地面に打ち伏せて肩の関節を極めてやろうと思っている。歳を重ねて良くなってくるものもある。それがたとえ昔の自分が嫌悪していたスタイルであっても、だ。変わることは悪いことではない。こちらとてヘラヘラとハーモニカもよろしいですなぁ、いっちょペロペロ吹いたりますかぁ、などと軽い気持ちで吹いてるわけではない。けれども、楽器なんて軽い気持ちではじめて何が悪いという気持ちもある。求道は素敵だけれども、楽しむことも大切だ。俺にとって音楽はそのふたつの、相反するような要素が同居している。のだ。野田。

 

 若者に混じって、アジカンの曲ばかりに頼るのは卑怯だ!ということで、5曲中3曲は自分のソロ(新曲含む)の曲を演奏した。ブルースハープ自体も奥深い楽器だけれど、ハープから歌唱に移るタイミングが難しかった。ブレスの位置を考えておく、というよりは慣れておかないと歌い出しで息が持たなくなってしまう。面白い。もっと吹いて上手くなりたい。

 

 終演後は皆で焼鳥を食べ、屁をこいてから心斎橋を後にした。いい夜だった。9月23日。

 

2013-09-23 1379886960
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