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※この日記は100%妄想で書かれています。
フジロック2日目。
目が覚めると、俺はとにかくだだっ広い水面に浮かんでいた。気絶しているうちに流されてしまったらしい。慌てて岸まで泳いで行き、場所を確認すると「二居調整池」という場所だった。頭に乗せてあった焼そばがなくなっていたのでものすごく暗い気分になったが、それ以上に、随分と下流に流されてきてしまったことに対して、ほとんど絶望、というような気分になった。が、右手には3日通し券としてのリストバンドが緩めに巻き付けてあり、それを見て我に返って、三国街道まで這い上がることに決めた。ほとんど崖、みたいな場所をSASUKEよろしくよじのぼって、道路に辿り着く頃にはすっかり日が沈んでしまっていた。そこから小一時間かけて苗場に戻った。
やっとの思いでグリーンステージまで戻ると、ビョークが歌っていた。神々しかった。荘厳、という印象だった。ものごっつい危機、みたいな場所から戻ってきた俺はほとんど抜け殻、家系ラーメンの寸胴の底で粉々になった豚骨のカスのようになっていたのだけれども、一瞬で甦った。音楽って素晴らしい!!!ビバ!!苗場!生まれたことがそもそも奇跡!とどこかで聴いたことのあるような歌詞みたいな言葉を引用して感動していたらば、最後の曲であった。
ビョーク “Human Behaviour”
悲しかった。だが、悲しんでばかりはいられない。何しろ高いチケット代を払っている。500円玉貯金を途中で切り崩して参加しているのに楽しくないだなんて言えない。俺は半泣きでトボトボとホワイトステージに向かった。が、ホワイトステージへの通路は大渋滞で押せや押すなやでオーディエンスたちはかなり殺気だっており、一触即発の空気だった。屁をこいた、こいていない、で喧嘩をしているカップルもあった。そんなんに巻き込まれたらたまらんので、尻の穴を閉め、そっとスカしてからそのカップルと距離を取った。さっきいたあたりから悲鳴と怒声が聞こえた。
ようやく辿り着いたホワイトステージではJURASSIC 5がパフォーマンスの真っ最中だった。
JURASSIC 5 "Concrete Schoolyard”
ぜ、贅沢!とか思っていたら、これまた数曲で終わってしまった。渋滞のせいだ。俺はいよいよ死んでしまいたいような気分になったけれど、まだまだ演奏をしているアーティストもいるじゃないかと自分を励まし、そうだ馬で送ってもらおう!とトコロ天国の奥まったところで川に流されかかっている小汚い売店の親父を小突いてメニューにない焼そばを作らせて頭から被り、ホワイトステージの楽屋口から「やあやあやあ、馬でも乗りましょか」という感じで入っていったらば、屈強なセキュリティに羽交い締めにされ、眉間にチョップを喰らって追い出された。への字に折れ曲がったような体勢で転がされた。どうやら、焼そばパーマのVIP効果は昨日だけだったらしい。投げ飛ばされた弾みで、着ていたTシャツの袖が取れてしまい、変なタンクトップを着ているような出で立ちになってしまった。まわりはお洒落なフジロッカーだらけだった。「うわ、キモ」というような顔で覗き込んでくるブスもいる。頭を剃り上げ作務衣を着た男性が120円を恵んでくれた。俺は、本気で泣いてしまった。オイオイと。
どん底まで落ちた俺は、もう宿に帰ることにして、来たときよりも3割増でとぼとぼと、つうかもうボテボテと歩きながらゲートをくぐって外に出た。が、ちょっとだけ酒が飲みたくなったので寄り道をした。飲ましてよマスター、という気分だった。
ミツメ “うつろ”
森は生きている “日々の泡沫”
新人が出演するステージを眺めながら、俺はバーボンをクイックイと飲んでいた。ヤケ酒だった。酔いがまわって脳の回路もいよいよおかしくなって、誰かおっぱいでも揉ませてくれないかな、と、中2みたいなことを薄らと考えはしたけれども、実際にどうぞー!揉んじゃってー!なんていう素敵なレディというか奇特な人はいなかった。当たり前だ。そういえば小腹も空いてきた。なんか食おうかな、と思ってふらふらしていると、小汚い爺さんが美味そうなキノコを焼いていたので一串頼んだ。香ばしい醤油の香りを嗅いで、俺の口のなかは唾液で一杯になった。ところが爺さんはキノコの串焼きを発泡スチロールの容器に入れる段階でモタモタしはじめ、3分経っても5分経っても出したり入れたりを繰り返しているので、俺は腹が立って半分奪うような形で爺さんからキノコを取り上げ、軽く小突いてからハモハモとそれを食べた。食いながらよく見ると爺さんは松木安太郎に似ていた。あ、これ、幻覚のパターン。と思ったときには気絶していた。
つづく。
※この日記は100%妄想で書かれています。