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パリ公演。
朝から声が出るかどうかヒヤヒヤした。こういう気持ちは『ファンクラブ』というアルバムのツアーのときに喉を悪くして以来だと思う。あのときは本格的に声が潰れてしまって、治るのに時間がかかった。あれから随分たって、ある程度自分の身体のことが把握できるようになったので、当時ほど深刻な体調ではないことが自分で分かるのだけれど、今日声が出るかどうかについてはとても不安だった。
リハーサルまではあまり声を出さずにじっとしていた。楽屋で現地の医者に注射を打ってもらい、すると、みるみる声が出てきて逆に怖かった。
本番前、会場の外は観客たちの長蛇の列だった。正直に言って、とても驚いた。1500人のキャパシティの会場もチケットは完売だという。入れないひとまでいるらしい。そして何よりも、当たり前のように普通の外国人たちが我々のコンサートを求めて集まっているということに驚いた。俺らがこの会場に入ったときには、20人くらいが道端に座っているだけだったのに!!
本番はとても盛り上がった。俺の声も無事に出た。アルバムの曲でも一緒に歌っている観客が沢山いて、とても不思議だった。日本語は難しいだろうに。それから、俺の勝手な偏見で、例えば日本のカルチャー好きがアニメのコスプレなんかをしているというような図を想像していたのだけれど、それとは全く違っていた。普通に、音楽のファンが集まったという感じで安心した。実は、観客が全員忍者のコスプレしていたらどうしよう?みたいなことを、少しは思っていたのだ。そうでなくて、単純に俺たちの音楽が好きなのだということが伝わってきて、とても嬉しかった。
「リライト」をリリースするとき、実はバンドには様々な葛藤があった。アニメソングのバンドだと思われてしまうんじゃないかという想いがあったし、メンバー内でも見解が違って、スタッフを含めて、かなり激しく口論になったりもした。そういう中で、俺たちは「世界の人に聴いてもらうため」ということで、アニメのタイアップを引き受けていくことを決断した。もちろん、参加する作品自体のクオリティが非常に高いということも、俺たちの背中を押した。
だけれども、実際に「アニソンバンドじゃん?」みたいなことも言われてきた。アニメの内容に関わらず、当時のロックバンドにあってはタイアップ自体が結構軟派な選択だったと思うしね。それは仕方ないところもあるだろうし、うるせーと思うこともあった。今でも「リライト」のイメージで語られることが多いし。別の曲を全く聴いていないにも関わらず。笑。
まあでも、こうして実を結んだわけだ。俺たちの選択は間違っていなかった。海を越えたいという意志があった。それが届いて、とても嬉しい。きっかけをくれた日本のアニメーションとそのクリエイターたちにも感謝している。
ライブの写真などはアジカンのフェイスブックでどうぞ。
また行きたいです。パリ。本当に、地道にやってきて良かったと思う。6月2日。