文楽と愛国
カテゴリ:日記

 

 文楽を観に国立劇場へ。そして、そのまま劇場の会議室で取材。ヨーロッパから帰ったら記事にまとめる予定。

 

「愛国」という言葉がネット上に躍るようになって久しいけれど、国を愛することってなんだろうか。

 

 例えば、外国の政府や外国人にルサンチマンをぶつけることは、愛国ではないと思う。少なくとも俺にとってはそうだ(俺は中国政府が嫌いだけれど、それと愛国は関係ない)。俺はこの国に、この土地に、育まれてきた文化にもっと接続したい。俺らが知らないだけで、いろいろな場所にあるんだと思う。例えば、いろいろな町の伝統的なお祭りだってそうだろう。そうやって、自分たちの国の文化について学ぶことは(もちろん、その歴史についても)、「愛国」だと思うよ。

 

 例えば、義太夫の節回しや三味線は本当の意味での「邦楽」と呼べると思うけれど、接続できるひとってどれくらいいるんだろう。明治維新によって、日本の音楽はドレミファソラシド、つまり平均律で教育されるようにになったのだという。それで断たれてしまった、「邦楽」との繋がりがあるように俺は感じる。それをどうにかして取り戻してみたいなと、俺は思う。

 

 ロックンロールっていう、外国からやってきた音楽を俺はやっているわけだけど、何年か前に、このまま外国の音楽の真似事だけをしてやっていくのは嫌だと思ったんだ。でも、ロックンロールって英語みたいなもので、最早世界共通の言語でもあるからさ。あとはどうやって自分たちの育んだものを流し込むのかっていうのが、世界に出て行くための何かになるような気がしたんだ。だけど、どう考えても、歌謡曲とか演歌以外に俺たちが普段から接続している邦楽はなかった(小学生のときにお祭りの太鼓を習ったりしたことがあるけれど)。それじゃいけないとうか、心もとないと思った。俺、本当に日本人だろうか?っていう、文化の面からみた根無し草感というか。まあ、そんなことを意識する人は少ないと思うのだけど。

 

 俺はもっと日本のことが知りたい。音楽だけではなくて。ある日突然、この国が出来上がったわけではなくて、時間をかけて、現在があるから。たとえばアイヌの文化に興味を持ったのも、そういう流れからなんだ。縄文に興味をもったのも、同じ。ここ数年のこと。

 

 もっともっと知りたいなと思う。学びたい。世界に出たときに胸を張って鳴らしたり、話したりしたいものね。5月27日。

2013-05-27 1369648560
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