なんか良い感じの多国籍料理屋に入ってビールとナシゴレンを頼んだ。スパイシーなアジア料理が食いたい、そう思ったからだ。

　出てきたナシゴレンは俺が思ってたよりもライスが赤かった。ナシゴレンというと茶色っぽい飯に目玉焼き、お好みでやや甘みのあるチリソースをかけてどうぞという印象があったが、この店のものはそれとは違っていることが一目で分かる。ベーコンやタマネギなども入っている。ほう、違う流派かな、とか適当なことを考えながら口に運ぶと、明らかにオムライスにオムられてない味の飯だった。ケチャップライスだった。申し訳ない程度にスパイシー、ではあった。

　これはナシゴレンではない、と、俺は思った。恐らく、ここの店主はナシゴレンを食ったことがないのではないかと思う。ただ、ケチャップライスとしては申し分ない出来で、ナシゴレンを食いたいという欲求は満たされなかったけれど、食欲は満たされた。なんとも言えない気分だったけれど、まあ、GWを台無しにすることもないので、荒ぶらずに店を後にした。5月3日。