TAIYO33OSAKA
カテゴリ:日記

 

 大阪の万博公園で行われた『TAIYO 33 OSAKA 太陽大感謝祭』という祭りを観に出かけた。

 

 

 主催者のひとりである元あふりらんぽのPIKAとは震災後に出会った。自分たちの生活にまつわる様々な問題(最初は原発の問題が主なテーマだったけど)についての情報交換がきっかけだったけれど、俺が発行している『The Future Times』の配布に協力してくれたり、彼女たちのイベントに呼ばれたりと、交流が続いていた。その、ある種の到達点としてのお祭りだったので、どうしても参加したかった。本場の、なまりのキツい関西弁を全身に浴びてキンタマを縮ませながら、俺は大阪モノレールに乗って万博公園に辿り着いたのだった。

 

 会場は予想以上の人出だった。集客数だけが成功のバロメーターではないけれど、1000人以上は人がいたと思う。家族連れも多い。

 

 

 会場内にはいろいろなスペースがあった。マッサージをしてくれるテントや、飲食のブース、オーガニックの何がしを売る店や打楽器を展示販売する店、アクセサリーの店。ああ、これは普通に祭りだな、と俺は思ってテンションが上がった。奥のほうには「アホアホごきげん発電」なるスペースもあった。様々な自転車を会場に訪れた人が漕いでいる。こういう場合、大体同じタイプの自転車を集めてしまいそうなところなのだけど、もうその種類がメチャクチャで、そういうところにニヤっとするし、画一的でないところ、つまり個性的なところが魅力だと思った。それぞれの、違った自転車で良いということなのだから。

 

 

 会場ではメインイベントの1000人ドラムが始まった。PIKAは一生懸命にその方法を皆にレクチャーしている。あまり説明が上手とは言えないかもしれないけれど、パッションが溢れ出しているので、それが会場を覆ってゆく。そして、1000人ドラムが始まると、遠目に眺めていた人たちが段々と広場の真ん中の櫓(やぐら)近くに集まり出した。いろいろな仮装をした人がいて面白い。

 

 

 傍から見たら、日曜の公園にわけの分からない格好で集まって(普通にお洒落な人も多数だけど)打楽器を打ち鳴らして騒いでいる、ただのド阿呆なのかもしれない。生産性があるのかと言えば、ないかも分からん。それでも、ここにある原始的な喜びは何だろう。部屋の片隅で悶々と鬱屈を煮詰めているのとは真逆の、放射するようなエネルギーに満ちている。「あんたが太陽」とPIKAたちは言っていた。「お前自身が太陽になれ」という激励と、「あんたが太陽」という文字通りの他者への肯定と、そういうメッセージなのだと思う。最高じゃないか。

 

 ひとりとして同じ振付けで踊る者がいなかった。打楽器の演奏に対する決めごとはあったけれど、皆自由に、勝手に盛り上がっていた。それは参加者の、それぞれの「祭り」が結集してひとつにまとまっているようでもあった。トップダウン方式ではなくて、櫓(やぐら)の上のPIKAたちに向けてエネルギーが結集してゆく。これがトップダウン方式だったら、きっと怪しい宗教に見えただろう。マスゲームのように同じ振付けで、右手を振ったりしたのかもしれない。でも、ここには自由があった。誰もルールやマナーを振り回したりはしていなかった。俺はとても居心地が良かった。手ぶらで来たので楽器を持っていなかったのだけど、たまらずにそこらにある竹を拾って一心不乱に叩いた。とても楽しかった。

 

 クライマックスは感動的だった。なにかの手違いでPIKAが終演の3時33分を間違えるという、グダグダな展開も良かった。そこからの、最後の盛り上がりが素晴らしかった。

 

 

 ほとんど宮崎アニメのような光景だった。1000人以上で集まって阿呆を皆で煮詰めていくと、『もののけ姫』みたいな感じになるのかと、そんなことを考えながら、心はビンビンに感動していた。なんだか意味のわからない感動だったけれど、これが「生きている」ということなんだと思った。俺は嬉しかった。

 

 エネルギーの問題以前に、我々の人間力としてのエネルギーはどうなんや!と、まずはそこからや!と、そういうことがメッセージになっているのだと俺は受け取った。変わらなければいけないのは、俺たちで、俺だ。太陽光発電ももちろん大切なことだけど、その前に、それを使う俺たちはどうなんだと、そういうことなのだと思う。自分のことを「太陽」と言うのは難しいけれど、俺は豆電球くらいには友人や家族を照らしたい、いや、LED電球の60W相当くらいまでは光りたい。で、友人や家族のことを「あんたが太陽」だと肯定したい。

 

 良いイベントだった。とても素敵な、今の時代をタフに生きて行くヒントが沢山あった。ド阿呆で、良いんだと思う。ステイ、ド阿呆。3月3日。

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