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アジカンのレコーディング。リリースは随分先だけれど、とても良い感じに録音できた。情報はまた追って。
この日は10年間仕事をずっと一緒にやってきたディレクターとの、最後(仮)の作業だった。ディレクターという肩書きながら、やっていることは殆どプロデューサーで、彼のサウンド面への的確な助言によってアジカンは歩みを進めてきたのだった。また、彼はリズムについての感覚も、音楽についての知識も素晴らしくて、尚かつ頭脳明晰、そういうポジティブな要素に変態的なエフェクトをかけたような人間で、ファッションセンスはチンピラのようだけれど、皆からとても信頼されている。そういう「THE 現場」みたいな音楽の人が別の、配信かなんかの部署に異動になってしまって、俺たちはどよめいたのだった。
大きな会社の事情は分からない。このような時代、彼のような優秀な人材が配信という、今後のレコードカンパニーの生き残りを占う部署に必要なのかもしれない。だけれども、そういう「売る/売らない」の話とは別に、彼が音楽を「記録/録音」する現場を去るのははっきりと損失だと思うので、ここに記したいと思う。こういう異能の人物は普通にそこいらにはいない。俺は彼がどこかの、音楽の「現場」に戻ることを強く望む。しつこいけれど、損失に値するので。枯れてはいけないのはどの場所のどんな技術か、そういうことを考えてみて欲しい。
この日の最後の録音、つまり彼にとって最後かもしれないディレクションは、俺の動物の鳴き真似の録音だった。優秀なディレクターの最後の仕事が、こういうアホな仕事であってはいけない。でも、本物と区別のつかない良い録音だった。笑。