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夕方の公園はガキでごった返していた。小学生の群れ、という感じで、キャッキャキャッキャと四方八方でいろいろな遊びが展開されている。
ふと、公園の真ん中に目を向けると、小学校高学年の団体が野球をはじめた。地面にバットでホームベースを描いて、それ直角じゃないよね?という角度でファウルラインが弾かれてとんでもない場所に一塁ベースがあったりする。頭ひとつ大きなガキ大将が場を取り仕切っている。
しばらくするとそのガキ大将がバッターボックスに入った。ピッチャーは普通としか言いようが決してのび太ではない感じの子が担当している。その子が大袈裟に振り被ってボールを投げた。ヌルい速度でボールはガキ大将が構える方向へ飛んでいき、ガキ大将はエイヤとバットを振った。見事な空振りだった。というか、空振りうんぬんよりも、ガキ大将がものすごく気持ち悪いフォームでバットを振ったことに衝撃を受けた。大将が振り抜いたバットは、構えこそ普通の少年のものであったけれど、もの凄く鈍い速度で自分の身体から一番遠い場所にバットのヘッド(先っぽ)が押し出され、そのまま伸びきって前方にヌラっと空を切った。イメージと身体がまったくリンクしていない、というような動きだった。
このままでは、きっとガキ大将の立場から転げ落ちてしまうかもしれない。そんな予感があった。一応、高校野球まで経験した身としては、肘の使い方くらいは近寄って教えてあげたいという気分になったが、気持ち悪いオッサンだと思われるのは嫌だし、場合によっては警察を呼ばれるかもしれないので、ガキ大将の気持ち悪いスイングは見なかったことにした。
帰り道、ガキ大将は仲間のひとりによって公園のトイレの上にグローブを投げ捨てられていた。悲しい気持ちになった。2月23日。