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大学生の頃、「JUST」のビデオのトム・ヨークみたいな髪型にしようと思って美容院に行ったことがある。でも、なんというか、レディオヘッドのことを美容師の方は知らなそうだったし、何よりレディオヘッドって知ってますか?とたずねる勇気が俺にはなかった。
なので、まあ、「短髪で!」という漠然とした指示しかできなかった。それでも、当時のありったけの語彙力でもって、「なんかこう、西洋人の、毛の量が軽い感じの、ええ感じの短髪」みたいなことを頑張って伝えた。だけれども、髪質や量、顔の形、なにより顔面が邪魔をして、普通のスポーツ青年が小汚い、みたいな感じにしかならない。で、もうちょっと切りましょか、切りましょか、切りましょか、とやっているうちにトム・ヨークというよりは十勝花子のようになってしまって、上手くいかない。そうこうしている間になんだか自分に腹が立ってきて、もういいですわ、坊主で良いですわと思ってしまった。そしてそれを美容師に伝えた。
美容師もさすがに、小一時間チンチクリンの大学生の頭をあーでもないこーでもないとこねくりかえさせられたうえに、最終的に坊主にしろとチンチクリンが言い出したわけで、当然このチンチクリンはトム・ヨークになれなかったのは美容師のせいだと吹聴してまわるのは必定、そんなことをされたら店の沽券に関わる。だから「いや、やめたほうがいいよ」と言わざるをえない。だけれども、俺の決意は固くて、坊主でいいです、なんかお洒落な坊主っつう顔して明日から逞しく生きます、というようなことを主張してバリカンをあててもらい、周りの店員さんが笑いを堪えるのに必死になるなか、美容院を後にしたのだった。後藤正文、20代前半の話。
また、ベックに憧れて『ミューテイジョンズ』のジャケットを持って美容院に行ってパーマを所望し、だけどもせっかちなのでパーマ時間の長さに耐えられずに中座、さらには髪質や量、顔の形、なにより顔面が邪魔をして、結果どこぞのババアみたいな感じになってしまい、尚かつパーマが3日くらいで消滅するという惨劇もあった。「そういえば、このジャケット、似てますね」と帰りがけに美容師が気休めに言ってはくれたけれど、あんなに分かりやすくヘタクソな嘘を俺は生涯で2度と聞いたことがない。
そんなことを思い出しました。お洒落なヘアースタイルは顔次第です。絶対。1月31日。