恐怖の心霊現象
カテゴリ:日記

 

 コンビニのレジ付近に置いてある肉まん、唐揚げ、コロッケ、アメリカンドッグなどの惣菜の誘惑に負けそうになることがたまにある。フライドチキンがテラテラと光っているのを見ると、大して腹が減っていないにも関わらず注文したい、かぶりつきたい、そんな気持ちがムクムクと涌き上がってしまって、処理に困る。

 

 この日も立ち寄ったローソンで、「からあげクン」がこっちをジっと見ていた。クンをつけているのだから雄だろう。もしかしたら、大衆週刊誌の風俗ルポの文章にあるように、紀子クン、佳子クン、そういうオッサン的なクンの使いかたかもしれん。だけれども、パッケージを見るに立派なトサカが描かれているのであって、やはりこれは雄であるのだと、雄鶏であるのだと俺は断定している。

 

 このあとで問題になってくるのは、唐揚げにされる前の鶏が「からあげクン」だったのか、唐揚げ自体が「からあげクン」なのかということだ。前者の場合、凄い数の「からあげクン」が養鶏場で飼育されていることになる。恐らく、名前ではなく数字で、「からあげクン ID30285C18」とかいう感じで管理されているのだろう。「からあげクン」は「かりあげ君」のような響きがあって親しみやすいような錯覚に陥るが、固有名詞ではなくて、ショッカーみたいな名称だということになってくる。団体名だ。後者の場合は、もっと鶏としての個を尊重しないかたちで、肉片それぞれに「からあげクン」という名前をつけていることになる。何か、猟奇的な感じがして怖いなぁ、鶏肉の権利を守って欲しい、鶏権団体を組織したい、と思ったひともいるかもしれないけれど、なんことはない、ただの商品の名前ということになる。

 

 んなもん、ただの商品名であって、お前の面白さを装った屁理屈ブログに載せるには無理があるし時間の無駄だ、金返せ、などとう雑言を俺に吐きつけたいひともいるかもしれないが、「からあげクン」のホームページを見て欲しい。これはやはり、鳥の名前が「からあげクン」であったとしか俺は思えない。「からあげクン レギュラー」の可愛さたるや、昨今のアイドルブームに混じっても太刀打ちできるくらいのもので、俺は率直にこのような愛らしい鶏がいたら飼育してみたい。そして、できるならば「からあげクン」にならなくて良いんだよ、ずっとここにいていいんだよ、と言ってあげたい、家族として迎え入れたい、そんなことを思った。

 

 一般的に雌鳥はやわらかくて脂肪が少なく、雄鶏は脂が多く身が引き締まっているのだという。「からあげクン」(ID番号は知りません)も生前は身の引き締まったブロイラーだったのだろう。どうしてこんなにも柔らかく揚がってしまったのかは知らない。一口食べただけでは、これが雄鶏であるとは誰も思わないだろう。雄鶏なのに?こんなに柔らかくていいの?と思うひともいるかもしれない。

 

 そして、俺はいま「からあげクン音頭」という曲を試聴している。ヒャダインという有名なミュージシャンが作ったらしい。「からからあげあげ、クンクンクン」このクンクンクンのところが、なんか良いかもわからん、と思った。ただ、リミックスのほうの語りの部分で、"たまにローソンの店に来てお客さんの肩に乗って「買って買って」と言っている"と、そう歌われていた。やはり、俺の推察は当たっていて、「からあげクン」なる鶏がいるということだ。歌詞が証明している。そして、店頭に霊として、動物霊として現れるということらしい。ローソンで起きる心霊現象があるとしたら、それが原因だろう。

 

恐ろしい。11月2日。

 

 

「からあげクン」の歌

 

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