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岡山公演、観客たちの性急な手拍子に度肝を抜かれる場面もありましたが、総じて楽しかったです。参加してくれて皆さん、どうもありがとう。
岡山公演後は疲れがたまっていたので打ち上げには参加せず、ホテルに戻ってマッサージを頼んだ。マッサージと一言で表しても、土地やホテルによってクオリティに差があったり、特色があったりして面白い。そういう違いを揉まれながら楽しむという奇怪な趣味を俺は持っている。趣味の欄に書くとしたら「マッサージを受けること」となるのだろうか。アンケートや履歴書の趣味の欄に書くにはあまりに長いし、意味も不明だし、性的なマッサージだと誤解されると面倒くさいのであまりひとに言ったことはない。
昨夜はちゃんと資格を持った本格派のマッサージ師がきてくれた。ツボを的確に突いてくれている感触があるのだけれど、とても「痛いタイプ」のマッサージだった。なので、ヌギャー!!ヌグオー!!などと奇声を発してしまい、隣室の方々に迷惑をかけてしまったことだと思う。こういう「痛いタイプ」のマッサージ師がよく言う科白は「さわってるだけなんだけどねぇ(笑)」で、ときには「なでてるだけなんだけどね(笑)」になる場合もある。訛って「なぜてる」となったりすると大変な和みポイントになるのだけど、痛いのでそれどころではない。昨日のおばちゃんも例外なく「触っているだけなのよ」を連呼し、俺のツボをグイグイ押してきたのであった。
マッサージ師の施術中は、なるべく静かにしていたい。疲れているのだから当たり前だ。だけれど、無音で気まずい感じになるのは嫌だとも俺は思っている。マッサージ師もそれは避けたいので、時事ネタなどを振ってくる。そうすると揉まれることに集中できなくなってしまう。こうした場面を避けるには、テレビを点けっぱなしにする、ラジオを点けっぱなしにする、iTunesで音楽を聴く、寝る、などの選択肢がある。俺は毎度、テレビを付けっぱなしにしている。なんとなく、気まずさを緩和する度合いが一番高いように思うからだ。なんというか、あるのだけどないような、マッサージ師以外にも人がいるような雰囲気を演出できるし、それでいて聞き流せるヌルい感じを保っておけるのが良い。
テレビを点けることによって精神的にはリラックスできるのだけど、もちろんリスクもあって、それはマッサージ師がテレビに見入ってしまうということだ。そんなことはありえない!と思うひともいるだろうけれど、実際にテレビに見入ってしまい施術がおろそかになってしまうマッサージ師に揉んでもらったことが何度かある。手が止まる瞬間もあって大変に驚いたが、それに気づいて急に消したりするのも失礼だし、気まずい空気を避けるために点けたテレビの意味がなくなってしまう。真逆の効果になってしまう。なので、その日は中途半端に揉まれることを受け入れたのだった。5000円くらいをドブに捨てた気分だった。
この日のマッサージ師は本格派で、テレビに見向きもしない様子だった。俺と同じく、BGMのように聞き流していた。だけれども、たまたま放送されていたのが「匿名探偵」というちょっとエッチな、ちょっとエッチというか大分猥雑な、そういうシーンのあるドラマだった。そのことに気づいた時には横向きで肩を揉まれている最中で、チャンネルを変えたりできなかった。はっきりと気まずかった。ニュース番組とか、旅番組、なんともないトーク番組、料理番組だった良かったのだけれども、セクシーな女優の皆さんが半裸でリンボーダンスをしたり、三浦理恵子のエロイ声が木霊したりと、そんなテレビをバックにヌギャー!!とか俺は叫んでいたわけで、それを思い返すと恥ずかしい。NHKにしておけば良かったと思った。
マッサージ師はいろいろなひとがいるので本当に面白い。大山倍達や長島茂雄を揉んだことのあるという老婆、「お客さんの部下は幸せだわぁ」を3分に一回言うメガネ白髪ロンゲのジジイ、石原軍団への愛情を語り尽くしていった青年、毎度同じ話をする赤い眼鏡の婆さん、何の恨みがあるのか知らないけれど長渕剛の悪口を言い続ける空手師範のオッサン、など、とにかく面白いひとに沢山で出会った。一回6000円くらいするので、なかなかの出費をともなう趣味にはなるのだけれど、身体も少しはほぐれるのでオススメです。趣味だと言い張っているのは、俺しかいないと思うけれど。10月26日。