ツアー初日の夕食
カテゴリ:日記

 

 ツアー初日が終了。とても良い夜だった。

 

 夕食が弁当であることの多いコンサートやライブの現場だが、この日は温かい食事をビュッフェスタイルで食べることができた。これはとても嬉しい。スタッフに感謝したい。小食の俺は弁当だと白米が必ず余ってしまう。昨今の弁当は食いしん坊使用、もしくは育ち盛り使用の設定で白米がたっぷり盛られていることが多い。恐らく、ご飯が少ないというクレームに内包されてしまう吝嗇(ケチ)というイメージよりも、ご飯が多い場合のほうが店の受けるダメ—ジが少ない、そういう考えが過剰なライスの盛りに繋がってしまうのだと思う。気前が良いというような演出にも繋がる。だけども俺は、美味いものをちょっとずつ食いたい。だからデカ盛り、ドカ盛り、というようなブームをあまり好ましく思っていない。「大盛りにしますか?」というサービス精神、それが必ずしも嬉しいひとばかりではないことを知って欲しい。逆に「ご飯減らしますか?」と聞かれたいくらいだ。

 

 メニューはこちら。

 

 

 メニューに書いてある料理はどれも美味しかった。

 

 ただ「ミニ温かいうどん」というネーミングが気になった。「蕎麦もできます」というスタッフの進言には、ここは関東なので蕎麦をあまりぞんざいに扱わないで欲しいというような言葉を言いかけたが、飲み込んだ。コンサート会場の楽屋で、カップ麺以外の温かい麺類を食べられるだけで嬉しいのだから、そんなことに目くじらを立ててはいけない。小さい男だと思われてしまう。ただ、「ミニ」が先頭に書かれていることが気になった。うどんや蕎麦の類に「ミニ」が使われる場合は、当然「うどん」にかかっている、つまり小さなサイズのうどんなのだと解釈するのが一般的だ。だけど、この場合は「ミニ」と「うどん」の間に「温かい」が滑り込んでいる。それで俺は混乱した。

 

 素直に「ミニ」が「うどん」を修飾していれば、小さなうどんということで問題ない。「温かいミニうどん」だったらこんなことを考えなかっただろう。ただ、「ミニ温かいうどん」の場合は、もしかすると「ミニ」が「温かい」にかかっているかもしれない。そうするとヌルい普通サイズのうどんが出てくるかもしれない。俺はライブ前の食事の量をかなり少なめに設定しているので、普通サイズのヌルいうどんだったら、ご飯の量を減らすか、ご飯そのものを諦めないといけなくなってくる。食べ過ぎるとライブ中にボーっとしてしまうからだ。うどんとライブを天秤にかけた場合、これはライブの重みが勝るに決まっている。

 

 ただ、うどんを普通サイズだと断定してご飯を食べないという選択をした場合、今度はおかずのセレクトにも影響が出てきてしまう。鶏と豆腐のハンバーグはまあ単品でも食べられるとして、いわしの梅煮は是非とも白米と食べたい。そう思ってしまうのが日本人としては避けられないことなのであって、お魚万歳、これがかなわないとするとライブに向けてテンションがかなり落ちてしまう。これはマズい。ライブがうまくいかなくなってしまうかもしれない。いわしの梅煮を白米と共にかき込みたかったと、30分くらいかけてMCで愚痴をこぼしてしまうかもしれない。

 

 悩んだ。うどんはよそうかと思った。だけどもやっぱり、麺類を楽屋で食べてみたかった。なので、恐る恐る、あえて蕎麦を注文した。出てきた蕎麦は小さいサイズの器に盛られていた。ミニ蕎麦であった。安堵ってこういうときに使う言葉なんだなと思った。ご飯もそれほど減らすことなく、すべてのメニューをよそって楽屋に戻り、いわしの梅煮と白米を口の中に放り込んだ。幸せだった。日本人として、幸せだった。和歌山の梅農家の皆さん、全国のいわし漁師の皆さん、ありがとう。海万歳、山万歳、ついでに俺万歳。そんな気持ちだった。そして、味噌汁代わりに「ミニ温かいうどん」(蕎麦だけど)の汁を啜った。

 

 信じられないくらいヌルかった。10月12日。

 

2012-10-12 1350045660
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