ナイトウォーキング
カテゴリ:日記

 

 リハーサル。通し稽古のあと、岩崎愛はインストアライブに出かけて行ったので、残りのメンバーでリズム練習。三原重夫さんを囲んで、山ちゃんややハネてる問題(not寝癖)、建さん自由過ぎ問題、キヨシ絶好調問題、など数々の問題について実際にセッションしながら話し合った。とても面白かったし成果もあった。自分たちだけだと、コーヒーを吹きかけ合ったり、豆を投げつけ合ったり、浣腸攻撃合戦になったり、とにかく険悪になることがしばしばあったので、三原さんや上田さんが入ることによって和やかにことが進むのが嬉しい。

 

 リハーサル後は官邸前へ。

 

 

 永田町の1番出口を出ると、国会議事堂の真裏、皇居の側に出る。ここを真っ直ぐ皇居から離れるように歩いていけば首相官邸前に行けるのだけど、横断歩道は警察官によって封鎖されていて、デモに参加するひとはグルっと国会正面のほうを回らなければならない。半蔵門線の永田町駅ホームから1番出口までもかなり距離があるので、ここからまた何百メートルも歩くのかぁとボヤきながら、蒸し暑い中トボトボと歩いて行った。蒸し鶏ってこういう気分なのかな、そういうことは思わなかった。思わなかったのなら、書かなければいいのだけど、なんか書いてしまった。

 

 国会議事堂も、真ん前には渡れない。交差点の向いにはお立ち台のようなステージが用意されていて、ここでいろいろな人がスピーチをしている。シュプレヒコールもあげている。道幅にも余裕があって、こちらのほうが実は居心地が少しだけ良い。でも、本当にクソ暑かったので汗がダラダラ出た。機材なども持っていたので、暑さだけでなく荷物の重さがしんどかった。年寄りが多いと思った。若者の割合は、全般的に少ない。高齢化社会なんだからそんなもんだろうと言われればそうかもしれない。時間がつくりやすいのかもしれない。北海道道庁前もそういう年齢層だった。印象的には、30代以下は少ないように思う。関西電力前にも2回くらい行ったことがあるが、そのときは若い世代が沢山集まっていた。

 

 その後、官邸前へ移動。現在は、完全に封鎖されているわけではなくて、この日は霞ヶ関方面からのルートで歩いて参加することができた。

 

 国会前からの移動中、ひとりで黄色のブブゼラを国会に向けて吹いているオッサンを見かけた。何故にブブゼラなのかはよく分からなかった。陣取った場所も、デモをデモ隊とまとめるならば、そのまとまりからは外れた場所だった。よく分からんが、このオッサンにはオッサンなりの信念や意志があるのかもしれない。それを想像することは難しい。ただの阿呆の可能性もある。道々でギターを抱えて歌うひと、打楽器を叩いているひと、忌野清志郎の写真を掲げて彼の曲を流すひと、いろいろな人々を見かけた。俺はこんな場所にギターを持ってきて歌ったりはしないので、デモに来て歌ってしまうひとの気持ちが全く分からない。歌うどころか、楽器を持っていこうとも思わないので、なんというか、正直、そういうので誤解されるところもあるぜと言ってやりたいのだけど、それは俺の視点であって、彼らの理念とか意志とかは知らない。暑いなぁとか思っている俺なんかよりも崇高なのかもしれん。実際にこの時期でも暑くて、街中に2時間立っているのも大変だから、こういう余剰みたいなものが潤滑油になるんだという発想なのかもしれない。いずれにせよ、想像の埒外だけど。

 

 そういうそれぞれの想いについては、俺には計り知れない。『デモ』という言葉ではまとめられない。俺も、まとめられなくない。凄い性格の悪いべっぴんさん、の逆、みたいなベタな喩え、なども思い浮かんだ。外見からの印象は一部でしかない。その人らの普段の行いまでは分からん。だから、俺は俺の抗議、それを発露さすのだとテクテクと官邸前に向かった。

 

 

 俺は、再稼働反対、と声をあげた。もう新しい原発を造るのはよせ、再処理もよせ、と思う。テキトーな規制委員会を作ってゴマかしたりせず、将来的な原発ゼロを目指せと思う。実現へかかる期間は、分からない。100年かかるかもしれない。でも、なるべく早く実現して欲しいと、望んでいる。そして、異論は認める。そういうものだと思う。俺は神でも科学者でも聖人でも、その他のなんでもなくひとりの市民なので、市民の立場からそれを表明しているだけだ(エラそうにすまん)。間違っているかもしれない。思い直すこともあるかもしれない。それでも、原発の問題、放射性廃棄物の問題、先送りにはできないと考えている。未来に向かって、吠えた。

 

 変わらないといけないのは、市民の側だとも、思う。俺も含めて。熱しやすく冷めやすい気質、ワイドショーみたいな体質、これは俺自身も少なからず持っている性質で、これを俺は心底憎んでいる。夏前にここにいた10万人は、どこへ行ってしまったのだろうか。とも思う。

 

 昨日の今日で、永田町に向かう半蔵門線の電車の中で少しお腹が痛くなった。緊張していたのだと思う。いろいろなことも考えていた。迷いが全くないかと聞かれたら、ある。そんななか知り合いの作家に会って、少し安心した。

 

 まとまらない。まとまらないが、いろいろなことを考えている。唸り声を上げている。今は心の中を文章にしても、自分で書いた言葉でも空疎で、言い当たっていないような気がして何度も書いては消して、リライトして、を繰り返している。まあ、思ってることの全てをネット上に書き込む必要もないのだけど。スイッチを切ってしまえば、ただの箱で、そこにぽつねんと俺だけが残る。丸裸のクソヤローが、そこにいるだけだ。10月5日。

 

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