第2次ピザ紛争
カテゴリ:日記

 

 前日の日記にて、ケータリングにおけるピザ問題を取り上げたのだけれど、その記事が原因かどうかは知らないが大変なことになってしまった。

 

 この日もリハーサルは白熱していた。フォノトーンズというキヨシ(ドラマー)が副業と偽って本腰を入れているインストゥルメンタルバンドがあるのだけど、そのライブがあるということでリハーサルは早めに切り上げなければならず、1曲毎のチェックを入念にするよりは一度通して全体の流れをチェックするということを行っていた。リハーサルは張本人のキヨシがやや遅れ気味で美味そうな弁当を持ってスタジオに現れ、遅れているわけだからそれを食わずに練習に参加するのが筋なのだけれども空腹に耐えかねてそれを食べ始めるというところからスタートした。アジカンのメンバーとスタッフは皆優しいので「お前のために早く終わるんちゃうんか!惚け茄子!」などと言ってキヨシを罵倒したり咎めたりする人間はひとりもいなかった。だけども、俺は内心ムカついていた。何より、そういう場合にキヨシは入念に様子を伺ったうえで目立たないようにスタジオの隅っこでネズミ男のような顔をして弁当を食い始めるわけで、俺が鬼太郎だったらリモコン下駄が飛ぶぜ、と思った。オカリナを吹いて一反木綿を呼ぶぞ、とも思った。ただ、キヨシはさすがに罪悪感があったらしく、とんでもない勢いで、ゆっくり味わうなどというのとは真逆の態度で美味そうな弁当を啜りあげていたので、俺は何も言わないことにした。心の中で、一言「ブス!」と罵声を浴びせるのみとした。

 

 様々なチェックを含めて2時間くらいかけてぶっ通したメニューも終了。俺は小腹が空いていた。何か摘みたいと思った。まあ、昨日の今日でピザの出前はさすがに敬遠されているだろうと思ってケータリングのコーナーに行くと、この日はスーパーの菓子パン、遺伝子組み換えの作物を使ったと思わしきポテトチップス、チョコレート、豆、の類がおいてあった。俺は血糖値を一刻も早く上げたかったので、ケータリングコーナーを物色した。

 

 はて。

 

 

「バジル&チーズ」というピザが紛れ込んでいた。150円という、大変にリーズナブルなもので、とても薄かった。無性に腹がたった。その憤りを虚しさが追い越した。違う、違う。そうじゃ、そうじゃない。鈴木雅之さんの歌声が脳内で鳴った。どこから説明しよう。そんなことを考えながら、帰路についた。10月2日。

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