HINATABOCCO 9/27
カテゴリ:日記

 

東日本大震災の復興支援を目的としたライブ、HINATABOCCOが無事に終了しました。

 

磯部さんや田上さん、マシータさんやケイタさんといった先輩たちの世代、それからヒナッチや私たちの世代、卓郎君やシモリョーといった若い世代、頻繁に絡むことはないだろうミュージシャンたちとの交流は、「被災地支援」という目的もそうですが、なによりも自分のミュージシャンとしての掛け替えのない経験になっています。本当に、こういう機会を何度も持てていることを嬉しく思います。

 

 

 

 

今回はPAにハイスタンダードでおなじみのSPCを迎えての開催となりました。SPCは「東北LIVE HOUSE大作戦」と題して、石巻、宮古、大船渡にライブハウスを作ろうというプロジェクトを立ち上げ、精力的に活動しています。どうか全国の音楽好きの皆さん、SPCの活動にも協力のほど、よろしくお願いします。

 

 

そして、HINATABOCCOのオンライン募金はこちらのサイトで行っていますので、そちらも併せて協力頂けると嬉しいです。

 

 

思い起こせば震災当初、我々ミュージシャンは計画停電の最中、音楽を演奏することすら不謹慎と言われるような状況の中に身を置いていました。確かに、我々が使う機材のほとんどは電力を消費します。電気なくしては成り立たない活動のほうが多いことは確かです。私自身も、当時は関東近郊でコンサート活動などを行うことをためらう気持ちがありました。とても大きな戸惑いでした。

 

それでも、『砂の上』という曲を作りました。アコースティックギターと電池で動くカシオのキーボード、足踏みと手拍子を自分で録音しました。「不謹慎だ」と言われることは承知の上でした。歌詞も、誰かを励ますためのものではなくて、自分自身の戸惑いをそのまま書き記すものでした。『砂の上』というタイトルがそれを表しています。ただ、作家の意地として、あの時に持っていただけの希望も綴りました。“今、この困難の中でこそ歌わなくてどうするのだ”、そう強く感じていました。

 

ただし、相変わらず、どこかの会場で音楽を鳴らすことにはためらいがありました。余震が起こる中、電気への不安が膨れ上がる中、人々を集めることや電気を使って演奏すること、それは当時の僕らにはハードルが高かった。それでも日向君のツイートに反応するかたちで、多くの仲間たちが集まりました。震災後、始めて首都圏に雨が降った日に、我々は都内の会議室に集まり、アコースティックライブの開催を決めました。

 

あれから半年、我々は震災以前とほぼ変わらずにツアーやレコーディング活動が行えるようになりました。ただ、東北の沿岸部の状況はどうでしょうか。我々が音楽を鳴らすことが出来るようになったのと同程度の復興が進んでいるとは思えません。瓦礫は徐々に撤去されていますが、避難生活を余儀なくされている方がまだ沢山います。

 

我々を「不謹慎」という言葉の中にたたき落とした計画停電も、その必要性に疑問があったことも明らかになり、ミュージシャンが電気を使うことに対する風当たりも、ほぼ無風に近い状態になりました。それでも、音楽家たちは相変わらず自分たちの活動に欠かせない電気について考えています。発言を始めています。それは何より、自分たちが電気を必要としているからです。その電気がどこからやってくるのか、やってきていたのか、それが気にならないミュージシャンはいないと思います。

 

事故を起こした原発はいまだにアンタッチャブルと言っていいような状況のままだろうと想像します。何か新しい、未来のエネルギーに対する希望が見えているわけでもありません。足を引っ張りあっているようにも感じます。同じ国のひとたちが、見えない“放射能”という言葉によって引き裂かれ、傷つけ合っています。こんなに酷い目に合いながら、自分たちの手でこの発電方法を見直すという決断すらできないでいます。

 

歌う理由が山ほどあります。

 

我々は表現者です。一切の表現には自由が認められています。

 

そんな当たり前のことを忘れずに、皆、それぞれの場所で鳴らすのだと思います。そしてまた、HINATABOCCOという温かいフィーリングの元に集って、誰かの憂鬱を優しく包み込むようなイベントを行えたら良いなと私は思います。東北のどこかの町にも、行きたいと思っています。

 

これからもこのイベントはいろいろな形で続いて行きますので、応援よろしくお願いします。

 

参加してくれた皆さん、視聴してくれた皆さん、そして多くの募金、どうもありがとうございました。

 

 

2011-09-28 1317213574
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