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JAPAN FES.に出演に関して、本当にいろいろ考えましたが、率直に今現在の気持ちをここに綴りたいと思います。
まずは震災後、徐々に音楽を鳴らすことが許される環境を取り戻すにしたがって、今年のJAPAN FES.に出演したいという気持ちがムクムクと沸き上がりました。少なからず被害を受けた地域で行われるフェスティバルで、何か出来れば嬉しいと、脊椎反射的にそう思いました。そして、その想いは今も持ち続けています。初めてのヘッドライナーを本当に楽しみにしています。
JAPAN FES.出演にあたっては「会場の安全が保障されるならば」という注文をマネージメントにお願いしました。マネージメント、主催者ともに「開催に問題なし」との説明を受けました。その後、JAPAN FES.の公式サイトでもそれが発表されています。この発表には、会場の放射線量が同時に明記されました。地表から1メートルで0.305マイクロシーベルト、地表から1cmで0.438マイクロシーベルトです。このような数字を発表は参加者に判断をゆだねるものだと思います。発表したJAPAN FES.の対応はとても誠意のあるものです。誠実なフェスティバルだと思います。
この数字に対する、個々の判断を否定するつもりはありません。ただ、私は線量の高い低いではなく、通常ならば0.10マイクロシーベルトを下回る場所でこのような数字が出ていることの意味を考えています。それは、なんらかの放射性核種がそこに存在しているということです。私が一番心配しているのは、その放射性核種が舞い上がり、子供たちが体内に吸い込むこと、いわゆる内部被曝です。大人たちに関して言えば(私も含めて)、その判断は個人にゆだねられるものだと思います。主催者も「問題ない」と発表しています。ただ、子供たちは自分の判断でここに来るわけではないと思います。何より、大人の我々よりも放射性物質からの影響を受けやすいとされています。妊婦なども同様に心配です。
子供連れの皆さんには、どうかこの点だけを考慮して欲しいです。防塵のためのマスクの着用、出来ることならば、子供たちは来るべきではないとも私は考えています。「神経質ではないか」という意見もあるでしょう。それでも、私はこの考えを消し去ることはできませんでした。影響が出るのは20年後とされています。
この日記は、ひたちなかの皆さんに不快感をあたえるかもしれないことは覚悟の上で書きました。それでも、ひたちなか市内の状況と、この芝生という、比較的線量が高く出やすいとされている場所とでは状況が違うと思います。同心円的に広がるのではなく、いろいろな町でも高い場所と低い場所があります。このページを見てもらえればわかるとおり、ひたちなか市内はそれほど高い数値が出ていません。ただ、海浜公園は、高い数値です。
ここまで書いて、「さあ楽しもうぜ」と、お前はどの口で言うのだ? というひともいるかもしれません。でも、私は、我々は、JAPAN FES.をとても楽しみにしています。これは率直な気持ちです。祝祭のような、幸せな気持ちでステージを降りて、皆がその気持ちを持ち帰って、復興へのエネルギーとなることを心から望んでいます。
参加されるひとは、一緒に楽しみましょう。我々はこれまでのASIAN KUNG-FU GENERATIONを代表するような、そういうステージにしたいと思っています。NANO-MUGEN FES.以上に、今年はJAPAN FES.に深い思い入れを抱いています。
様々な矛盾と向き合いながら、それでも歩みを進めたい。面倒だと投げ捨てずに、考え続けたい。音楽は逃げません。
この日記が誰かの楽しみに水を差してしまったことも、同時にお詫びします。ただ、この日記を綴らずにはいられませんでした。
後藤正文
追記。東京大学の児玉教授の参考人質疑のビデオをリンクに追加します。