コンテンポラリーダンスと聖地巡礼
カテゴリ:日記


正月気分も抜けました。
我々はNANO-MUGENに向けて、新曲のレコーディングに取り組んでいます。
かなり良い曲が出来ているのでお楽しみに。

写真を一枚。





左側の本は坂本龍一さんから頂いたもの。
ここ何年か興味の涌いたこと、ずっと前から興味や問題意識を持っていたこと。

例えば、911のこと、原発のこと、様々な芸術や文化とその歴史のこと、土偶に惹かれる理由、京都よりも奈良が好きな理由。
それから、僕らが暮らしている「今」という時代についての様々な考察。
そういった自分の中に点在していた小さな地図たちが関係性を持ってひとつにまとめられていく、そういう感覚を読みながら感じました。
コレも!コレも!!それから、コレも!!と繋がっていく。大きな地図になって編纂され直す。

これからどんな本を読んで、どんなことを考えて、発信して、それから勉強するのか。
そういうことがとてもクリアになる本でした。
教養のレベルが高いひとたちの会話なので、多少着いていくのに大変な部分もありましたが。ははは。

でも、そういうことが知への興味を掻き立てるというか。
知らないこと、分からないこと、ある瞬間には恥ずかしいことでもあったりするけれど、まだ何も塗られていないキャンパスを発見したと思えば、ね。
知りたい!と思えたことを喜ぶほうが、良いものね。

面白い本なので、オススメします。


それから右側。

神奈川近代美術館で行われたダンスパフォーマンスを観て来ました。
北村明子さんと、ミロトさんというインドネシアのダンサーの即興。
「HITO」をテーマとしたパフォーマンスなので、人体の機能美というか、関節の動きとか、序盤はそういうところに意識が行きました。単純に美しいなと。
それが対話のような形に変化していくと、断絶していること、断絶しているように見えてどこかで地続きであるような感覚、そういうものを感じました。
おふたりがここまでに積み上げてきた経験は、それぞれ違うのだということを北村さんはおっしゃっていましたが(「インドネシアの伝統的な舞踊の技術を前にして私には何もないというような感覚になる」という言葉が印象的でした)、そういうことを越えたところで水脈が繋がっているような、そんな印象。血かな。

アブストラクトな音響に一定のリズムが生まれると、ダンスが、肉体がそれに合わせて躍動していく様にも心を奪われました。別のスイッチがカチっと入るというよりは、ボリュームを上げるように滑らかに出力が上がったようにも感じた。それは対話形式だからかな。共振が始まって揺れが大きくなっていくような。
特に打楽器のビートには、何かそういうところに直結する役割があるのだなと、音楽と舞踊についての関係も想像しならがら、会場をあとにしました。

ダンスについての知識は全くといって良いほど持ち合わせていませんが。笑。
偉そうなことを書いてしまった。
でも、芸術作品を前にして、その場で自分の中の辞書を開いてゆっくり読んでいる暇ないですものね。
直接、自分の中にジャックを差し込んで感じる以外にない。対面したその瞬間は。

で、帰ってからこのように文章にしたときに、自分のお郷が知れるので、「もっと勉強しよう」となるのです。
思ったことや感じたことを言葉にして理解するためのボキャブラリーと回路も、感じることとは別に獲得したいなと思います。

そんなことを最近は考えています。

2011-01-14 1294970820
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