かなり好評を頂いているようで嬉しいです、この工場見学レポート。
少しでも、レコードってこんな風に作られてるんだ!と興味を持ってもらえたら嬉しいです。
案外、最近のレコードプレーヤーは昔に比べて安価になっているので(1万円くらいのものもあり、場合によってはiPodよりも安かったりします)、家電量販店などで探してみるのも面白いと思います。
さて、前回はラッカー盤を作りました。
おさらいしておくと、レコーディングした音源を実際にラッカー塗料を塗った円盤に刻み込んで作るのがラッカー盤。(ラッカー盤は同じものをふたつと作れません。唯一無二な1枚!!
ラッカー盤は盤面が柔らかいので、普通のレコードよりも滑らかな音がするそうです。
ラッカー盤に音が刻まれる様子。↓
続きましては、そのラッカー盤にメッキを施しまして、実際にレコードをプレスするための型を作って行きます。
この最終的な方をスタンパーと言います。
レコードは、ビニールの塊をスタンプに押し付けるように伸ばして、円盤が完成するわけなのです。つまり、そのスタンプの部分をこの工程では作っていくわけです。
ここでもエンジニアの西谷さんが解説をしてくれます。
聞き入るヤツら。↓
さて、ここからは結構込み入った話になります。
まずはラッカー盤。これはなんと!たった1枚しか作れないのです。ですから、溝が破損してしまったら大変。
というわけで、まずはラッカー盤に銀メッキを施して「銀面ラッカー盤」を作ります。(※写真、右上)
そして次です。
その「銀面ラッカー盤」にチタンのメッキを施しまして、それをベリっと剥がして「マスター盤」を作ります。
そうなのです。感の良いひとは気付いたと思いますが、マスター盤はレコードと凹凸が逆になっています。(※写真、右下)
マスター盤も1枚だけしか作ることが出来ません。
さあ、そして、そのマスター盤から同じ要領でベリっと、今度は「マザー盤」というものを作ります。
これはレコードと同じ溝が彫られており、物理的な溝の具合にチェックが入ります。音は、やはり金属の板なので、レコードよりも固い音になるようです。
ちなみに、ここで初めて数枚のマザー盤が出来ます。(※写真、左上)
出来上がった数枚のマザー盤は、やはり同様にベリっと作業が行われまして、「スタンパー」がようやく完成します。枚数的には10数枚といったところなのだそうです。
これをスタンプのように使ってガッチャンガッチャンとレコードはプレス(押し付けるように)されていくわけなのです。
右上から時計回りに、銀面ラッカー盤、マスター盤、スタンパー、マザー盤。
1枚のスタンパーからは、約1000~2000枚程度のレコードがプレスされるそうで、つまり、昔のミリオンヒットレコードなどは何枚ものスタンパーが必要だったというお話でした。
この場合、最初の過程で作った「ラッカー盤」から、100万枚のレコードは作れないので、数枚のラッカー盤を作り、そこからプレスをするとのこと。
ラッカー盤は最初に書いたとおり、同じものは作れませんので、100万枚のレコードの音質は微妙に違うということになります。そういうところも面白いですね。
おさらい。
ラッカー盤→銀面ラッカー盤→マスター盤→マザー盤→スタンパー→レコード。
これは簡単に言うと、大量生産のためのシステムですね。大量生産とは言っても、無限に複製できるのではないところが面白いですね。
これがメッキをかける機械たち。↓
中はこんな感じ。下に転がっている金属片を電気を流しながら盤面にぶつけるのだと、そのような理屈だそうです、メッキって。
詳しくは、日々の飲酒によって失われてしまいました。すみません。
※今回の工程において、部分的に間違った記述がされていた場合はご指摘ください。
というわけで、今回はここまで。
次回はガッチャンガッチャンと実際にレコードをプレスする工程を紹介します。
休憩するヤツ。↓
ロビーには銀杏ボーイズのレコードも飾ってありました。