フェスに向けてのリハーサルが始まっている。
今のところ大きな揉め事もなく順調そのもの。
先日、リハーサル終了後にマネージャーとふたりで立ち寄ったインド料理屋での話。
厨房やホールをそれぞれ担当している従業員は10人程度で、すべてインド人(外見上)。インド料理店としては、なかなか広い店だ。
我々を接客してくれたのは、若くてハンサムな男性の店員だった。鼻筋がキリっとしていて、当たり前だけどインド人特有のはっきりとした彫りの深い顔立ち。
彼は丁寧に我々を窓際の席まで案内し、ドリンクとフードのメニューを運んで来てくれたのだった。とても好感の持てる接客態度だった。
しばらくの間、我々は見慣れないインド料理のメニューと格闘し、最も無難そうに見えた「3種類のカレーとタンドリーチキン」を注文。ドリンクもついているし、ビギナーにとってはこれ以上ない安心メニュー。
食べ慣れない外国料理を勘のみで注文し、それが思っていたモノと違ったときのダメージは結構デカい。それがカレーのような、「もうご飯に掛かっているので取り返しがつかない一品もの」という類の料理だった場合は尚更だ。
我々は安全策をとったのだった。それを二つ注文した。
このメニューはドリンク付きだったので、ハンサムな店員は私たちにドリンクを選ぶように催促した。
私はビールが飲みたい気分だったので、セットのドリンクとは別にインド産のビールを注文した。
「&$%#9#$ですね。」と彼。
前半の部分がはっきりと聞き取れなかったので、念を押して「インドのビールを」と強調。
たまにこちらの発音が悪くて、別の飲み物が出てくるということもある。我々はそういう場面になぜか出くわすことが多いので、怪しいときには強調するというクセがついてしまった。
ただそれが裏目に出て、その昔「カレーうどん膳をひとつ。膳で!膳で!!!」と「膳」の部分を強調し過ぎた山田さんのミステイクによって、「カレイの煮付け『膳』」が運ばれてくるという事件もあったので、気をつけなければならない。
次にマネージャーが注文。「ラッシーをひとつ」。
すると店員の顔が少しだけほころんだ。
「ラッシーを、ププ、ひとつ、ププ、ですね。プププププ」
何故かは分からないが、彼は笑いをこらえているような様子だ。
私もセットドリンクを頼む必要があったので続けてみた。「私もラッシーで」。
「プゥ~、ラッシーをひとつ。プププププ、ブハッ!」
やはりラッシーの何かが完全に彼のツボを直撃したらしい。こみ上げる笑いをこらえきれずに彼は吹き出してしまったのだった。
インドでは、30代の男性がふたりしてラッシーを飲むというのがそんなに面白いことなのだろうか。
とりあえず、このハンサムな店員はラッシーを運んできたときや、会計の際にもその笑いを押し殺すことができず、延々とニヤニヤしては少し吹き出していた。
全然、嫌な気分にはならなかったけれど、我々は「え!?何?何?」とうろたえたのであった。
「インドでそれをやったら笑い者だよ~」的な何かをしてしまったのではないかと。
未だに謎のまま、ふたりでモヤモヤとしている。
今日はこのふたりたっての希望によって、リハーサル後に韓国料理を食べに出掛けた。
ガムジャタンという鍋料理だ。ダイノジの大谷さんが教えてくれた店なのだが、これがとても美味しい。
ダシのしみ込んだジャガイモが最高。
昔から皆でご飯を食べると山ちゃんがトラブルに巻き込まれることが多かった。全員が食い終わったあとに「すみません、今日はライスが終わって…」というような、耳を疑うような事件に信じられない頻度で出くわしていたこともある。
ただ、最近はそういう役回りが我々のマネージャーに移ったような気がする。
ただ、他のメンバーとしては、山ちゃんが事件に出くわしたほうが、山ちゃんには悪いが面白い。
そういった意味で、食の神様よ、もう一度山ちゃんに笑いを!!
そう願っている。