近所の路地にて、大きなセダンがこちらに向かって走って来たのだった。
路地に面した広い道路は、どういうわけか特別に混み合っていて、それを避けての行動だろうと私は予測した。
しかし、路地は車が一台走れるかどうかという狭いもので、出口に向かって徐々に細くなっており、恐らく軽自動車でなければ最終的に通り抜けることが出来ない。
車が近づくにつれて、何やら怒号が聞こえてきた。助手席の窓ガラスが完全に開け放たれ、神経質そうな女性が旦那に向かってなにやら叫んでいる。
「アンタがこんな道に入るから$%#@$#!!ホラ!こんなに人に見られて恥ずかしい!!!」
いやいや、あなたが大声でそんなことを言っているから私(および、通行人1~2人)は見てしまったのだよ。
渋滞のイライラもあったのだろう。
旦那さんはそんな奥様にいいところを見せたかったのかもしれない。裏目に出たけれど。
折角の好天に恵まれた週末。
またしても電気系統のトラブルに巻き込まれた鈴木亜久里がそっとハンドルを外してF1マシンから降りるような、そんな悲しい気持ちで旦那さんが車の運転を途中で投げ出していないことを祈る。