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18日。下北沢シェルター。
アナログフィッジュと久々に対バン。
何ヶ月か前に下岡君から直接電話をもらって、この日の企画は決まった。アナログフィッシュは前に我々の企画にも出てもらったことがあって、大好きなバンドだからね、断る理由はないよね。「はい!喜んで!!」的な、白木屋?的な返事しか出来ない。
で、事件は会議室ではなく、ライブハウスで起こるのだ。
この日、我々はイギリスのバンドTHE LA'S(オアシスなどの後続に影響を与えた凄いバンドなのだぜ)の「There she goes」を、アナログフィッシュとアンコールで演奏した。これも下岡君と電話で決めたのだ。
まあ、もちろん事前にスタジオでの合同練習は出来ないので、当日、本番前のリハーサルでとりあえず初めて合わせてみる。ドラムはアナログの斉藤君、ギターはメインのアルペジオをうちのケンちゃん、バッキングギターを下岡君、ベースは山田師匠、俺と健太郎君が歌を交互に歌うと。
あ、忘れてた。キヨシは賑やかし担当。
リハーサルの前。
歌を担当する(なんとハンドマイク。恥ずかしい)俺は、同じく歌担当の健太郎君と打ち合わせを軽く行う。「まあ交互でいいか」という話で纏まる。
ふと、テーブルに視線を落とす。なにやらよくわからないカタカナが書き殴られた紙が置いてある。
「デーシーゴー?」※画像参照
まさかとは思った。二度見するぐらいの勢いで。
これは歌詞カードだった。
健太郎君は「There she goes」の歌詞を耳で聴いたままコピーし、紙に書いて、それをオリジナルの歌詞カードとして作ってきたのだ。うーむ。
この話は、実は笑い話ではないのだよ、諸君。面白いけどね。
いや、正直、ショックだった。
健太郎君の楽曲とかプレイとか、天才的なものをいつも感じて悔しく思うのだけど、これは圧倒的なんだなと思わざるを得ない。上の歌詞カードみたいなやり方、普通しないもんな。ネットで調べたり、借りたりすればいいわけで。
狙ってやっているわけではないのだ。
ありのままでブッちぎっている。「こうだから、こうなって、こう」とかではないんだ。
凄えよな。
感動的だけど、天才を目の当たりにすると、いつも悔しい。本当に。
ライブは最高だった。アフターダーク初演奏。
この日のアナログフィッシュは昔の曲もやってくれて、嬉しかったな。演奏も曲も相変わらず素晴らしい。また一緒にやりたい。NANO-MUGENとか呼びたいなぁ。
19日。取材。
俺以外のメンバーは休み。休め、休め。これから大変だしね。
20日。休み。
持て余す。大相撲をTV観戦。そして松尾スズキさんの映画「クワイエットルームへようこそ」を観賞。
原作が好きで、2回読んだ俺。映像になるとこうなるのか!と。本人が映像化しているのだもの。
21日。プリプロ。
スタジオで、アアだコウだ、クミだシンだと白熱。一番新しい曲のアレンジ。この曲はアルバムの肝だ。だから夜中までかかって、いろいろなことを試した。良いぜ。
慣れない楽器の練習をしないとな。
自分で弾きたいんだよ、どうしても。
22日。プリプロ。
この日はギターのアレンジ。煮詰まって何時間もウムーとなっていたけれど、とても良いアンサンブルになった。すっきりスポーンと出て来たときは「天才かも」みたいに勘違い出来て嬉しいけれど、こうやって難産のときもやっぱり嬉しい。
そしてギター弾き語りを試しに録音して、この日の作業は終了。
「ファンクラブ」は素晴らしいアルバムだ。傑作だと、照れなく言える。
潜って潜って、ドロドロの液体の先に手を伸ばして、やっと掴んだ真っ黒い塊。俺はそれに「ファンクラブ」という名前を付けたんだ。意味はあるよ。でもここでは言わない。
その塊の殻?皮?何でもいいや、塊は何かに包まれている。
それを一枚一枚剥がして、中心にあるキラキラした小さな一粒を取り出すような、その行為をそのまま表したような、そういうアルバムを作っている。
「ファンクラブ」とは地続きだ。俺たちが今までに作ったすべての作品とも。
一瞬も途切れずに、繋がっているのだ。