リールで麺を巻き取りたい
カテゴリ:日記
8~9日。旅行。行き先は秘密。



10日。いろいろ。庶務。





以下にこの前の日記の続きを今日は書きます。



■コピーコントロールCDについて。というよりは音楽のこれからについて



音源ファイルをPCに取り込めないようにするため、コピーガード機能のついたCDが世の中に登場したのは2002年のこと。CD-Rドライブも普通にパソコンに標準装備されるようになって、CDからデータを取り込んでCD-Rにコピーするのが本当に簡単になっていたし、そうなると最早データ自体は無限にコピー出来るわけで、各レコード会社がこういうコピーをガードする機能(パソコンなどのCD-ROMドライブで読み取れなくする機能)をCDに付けようと考えたのは、とても真っ当なことだと俺は思う。企業としては当然の行為だよね。

ただ、技術としてのクオリティがあまり高くない段階で採用された機能だったこと、悪質な人間の行為を規制する目的のものが、善良なリスナーが個人的な目的で楽しむ範囲(例えばパソコンに読み込んで音楽を楽しむこと)まで制限してしまったことなど、ツッコミどころが結構あって、いろいろな所で話題になったし、反対する音楽ファンが多かった。

現在では、音楽の楽しみかたの変化や、違法コピーに関する知識の浸透という理由で、CCCDを採用するレコード会社はほとんどなくなった。そして、こういうことは忘れられていくのかなと感じてしまうほど、話題にもならなくなった。



でも本当は何も解決していなかったりする。先送りになっただけだと俺は思う。だから、もう一回ちゃんと考えていることを書く。そしてあまりよく知らない中高生も、その時にいろいろ思ったこと感じたことのあったひとも、もう一回考えて欲しいと俺は思う。



単純に音楽はCDの中では数字/記号の集まりで、もう思い入れがなければ本当に何でもないただのデータでしかない。パソコンが1台あればいくらでも劣化することなく複製が可能。だから「こんなもん」って思えてしまえばいくらでも垂れ流すように消費されてしまう。CDの中身だってCD-Rの中身だって記号としては全く同じなのだから、「記号だけくれ。外身はいらん」ということにもなるかもしれない。そしてそれがどこから来たのかもどうでも良くなってしまうかもしれない。「結局、同じ記号じゃん」と。「面倒臭いから間をはぶけ」と。

だけどまあ、そう極端なことにならないのは音楽を作る側にもレコード会社のスタッフにもレコード屋の店員にもリスナーにも、ちゃんと血の通った音楽ファンが沢山いるからなんだと俺は思う。



俺たちにも、レコード会社にも、そしてリスナーにも、それぞれ主張したい権利がある。でもお互いのその境目っていうのは結構曖昧で、善意とかモラルとか音楽に対する愛情がないと共存しないと俺は思うわけ。ほぼ何でも出来る時代になったからこそ、扱う「我々」がどうあるかっていうのが問題なんだよね。

だから音楽のことも、音楽を入れるメディアのことも、みんなで考えたら良いと思う。考えなかったら、合理的で便利なほうに向かっていくだけよ。もう、それは冷酷に。



俺はだから、前回の日記に書いたように、なるべく多くのひとが聴くことの出来るであろう入れ物を選んで、「手に取りたい」と君が思うような曲を素敵なアートワークやジャケットの総合体として発表していく。これからも、そのひとつひとつに愛情を込めて。

そして、仮に理想的な入れ物がなくなってしまっても、これまで通り4人で、なるべく多くのひとの前で、いろいろな街で実際に演奏しようと思う。これが、一番いいね。



君は音楽の未来がどうなったらいいと思う?

どうなって行くと思う?



我々は当時、CCCDで「未来の破片」をリリースする際、本当に納得できないのなら自主レーベルを作って自分達でいちからやることだって出来たんだ。でも、何年もかかってやっと辿り着いたメジャーとの契約を破棄する度胸はなかった。信念とか情熱とかももちろんあったけど、ただの臆病者だよね。そこまでの活動でバンドが得た成功とその先を守りたいという気持ちもあったし、いい音楽を作るための素晴らしいスタッフにも囲まれていたから、それを失いたくないという気持ちもあった。でも結局は何も出来なくて、「僕は悪くありません」みたいな被害者ヅラしたダサいミュージシャンだったように思うよ。

全てはASIAN KUNG-FU GENERATIONが選択したことなんだよね。問題はいつだって自分にある。我々の活動について選ぶのは我々なのだから。本当にいろいろな部分が未熟だったと思う。

責任はいつだって自分にある。というか自分にしかないんだ。



稚拙な文章でうまく伝わったかどうかわからないけど、時間をかけて書いたよ。

読んでくれてありがとう。



前半部分、事実関係での間違いがあったら指摘して下さい。誤字脱字なども。掲示板によろしくお願いします。



最後に。

音楽は数字や記号の集まりなんかじゃなくて、実際に空気の振動であることを忘れないで下さい。

で、忘れそうになったらライブを観に来て下さい。



おやすみ。
2006-09-11 1157908080
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