石原軍団と遭遇
カテゴリ:日記

 

 エレベーターに急いで駆け込んだ。俺は上階に行きたかった。だけどもエレベータは俺が押した五階には向かわずに、下階に向かった。あらぁ、やっちゃったなぁと俺は思った。誰かが下のボタンを押して階段などで降りたのだろう。だから扉は開いたわけで、俺は上に行くものだと思って乗ってしまったわけだ。このまま一階まで降りて、恥ずかしいけれど乗り込んでくる乗客と一緒にそのまま五階に向かおう、そんなことを考えながら下るエレベーターの中で身体が軽く浮き上がるような重力を床から感じていた。

 

 エレベーターが一階に着き、扉が開くと乗り込んできたのは石原軍団だった。舘ひろしを先頭にして、それを囲むように5、6人の若い衆が付き添っている。全員、目が痛いくらい黄色の襟、ボディが赤の派手は法被をきている。電気屋の新春セールを思わせる出立ちだった。俺はうわぁ!舘ひろしと思ったが、あまり顔に出すのも失礼だし、何となく怖かったので黙っていた。軍団はボタンの前に居る俺の横を通り過ぎて、舘ひろしを真ん中にして奥のポジションに乗った。俺はうつむいて息を殺し、エレベーターが上昇するのを待った。

 

 ところが、一向に扉が閉まる気配がない。背中に重たい視線を感じる。いやだなぁ、いやだなぁ。稲川淳二の怪談のようなことを心の中で呟きながら振り向いてみると、舘ひろしが左側の頬だけを引き攣らせた感じで苦笑いしていた。ニガっ!っと思ったがそれも言葉にしなかった。俺は軽く会釈をした。舘ひろしは「やれやれ」というか、「君、分かってる?」という顔をした。俺は、ああ、一階に着いたのにこの子は気づいていないんだなと思われているのだと理解した。なので、「えっと、僕は五階に行きたいんです。下に向かうエレベーターに乗ってしまって...」と説明した。それでも、舘ひろしは更に深い質感の「君、分かってる?」を俺に投げかけてくる。苦いというよりは辛い、そんな笑い方になっている。

 

 なんか嫌な感じだなぁと俺は思った。

 

 そして、その嫌な感じは的中した。降りろと、そういうことだった。君、分かってんの?、俺たちが乗って来ているのに降りないとはどういことですか、失礼でしょう、と、紳士的な言葉使いではあったけれど高圧的な感じで俺は叱られた。仕来りを知らない若者を鼻で笑うようでもあった。俺は久々に他人に叱られたので、その事実だけに面食らってしまい、しかも相手が舘ひろしだということにビビり、心の底ではムカついていたのだけど、「すみません」と謝ってエレベーターを降りた。

 

 エレベーターの扉がゆっくりと締まりはじめた。俺はなんだかムカっ腹が立ってきてしまった。降りないといけない道理はない。別に貸し切りというわけではない。どうして俺が謝らないといけないんだ。クソ野郎。納得がいかねぇ。でも怖い。怖いから文句は言えない。せめて扉が閉まってから中指を立てよう。そういう卑しいことを考えて、実行した。だけれども、中指を立てたタイミングが悪かった。まだ10cmくらい開いているうちにやってしまったから大変だ。真ん中に乗っている舘ひろしに見られてしまった。しかも目が合った。

 

 ヤバい。これはヤバイ。干される。つうか、テレビに出ないから干されるってことはないか。あー、でも、ボッコボコにされるかもなぁ。ライブハウスに石原軍団と舘ひろしの昔の不良友達が押し掛けてきて、殺られるかもしれない。ダメだ。なんてことをしてしまったんだろう。うわー。

 

 というところで目が覚めた。今年になって初めて見た夢。一富士、二鷹、舘ひろし。1月8日。

 

 

追伸。

 

実際の舘ひろしさんはとても良い方だそうです。あくまで夢の話なので誤解なく。

2013-01-08 1357649460
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